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こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
このブログでは、地主さん向けに役立つ不動産情報をお届けしています。今回は「借地権と底地の等価交換」について、簡単にご説明いたします。
「等価交換」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思いますが、借地権と底地の等価交換は少し難しい概念かもしれません。しかし、借地を整理する際に有効な解決方法の一つです。
まず前提として、民法における「交換契約」について紹介します。
交換契約とは、当事者が互いに、金銭を除く所有物の財産権を移転しあう、と約束する契約です。(財産権の対価として金銭を支払う場合は売買契約となります)
たとえば、Aさんが所有するX土地をBさんに移転し、Bさんが所有するY土地はAさんに移転する場合、これは交換契約ということです。
簡単に言うと、等価交換は「同じ価値のものを交換する」イメージです。具体的なプロセスは以下の通りです。
それでは底地と借地権の交換がどのようなものなのか見ていきましょう。
まず、借地権と底地の関係について整理します。
借地人が土地を借りて建物を所有している状況では、地主は土地(底地)を持っていますが、その土地を自由に使うことができません。借地人が住む権利を持っているため、地主はその土地を活用できないのです。
ここで解決策となるのが、底地と借地権の等価交換です。
この土地を二つに分けて、それぞれの借地権と底地を交換すると、借地権が消滅し、双方が自由に使える完全な所有権を手に入れます。これが「借地権と底地の等価交換」です。結果として、地主と借地人は土地をそれぞれ自由に利用できるようになります。
1.土地に借地権がある状態
2.借地権のある土地を分割する
3.借地権と底地を等価交換する
4.借地権が消滅する
5.「地主の所有権」と「借地人の所有権」となり、土地をそれぞれ自由に利用できるようになる
これが「借地権と底地の等価交換」です。結果として、地主と借地人は土地をそれぞれ自由に利用できるようになります。
ざっくり言うと、1つのソフトクリームを、クリーム部分(借地権)とコーン部分(底地)に分け、半分ずつ交換して2つのソフトクリームを作るようなイメージです。これで、両者ともに自由に使える土地を持てるというわけです。
底地と借地権を等価交換するときの注意点としては、次の2つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
底地と借地権を等価交換するとなると、借地権割合について懸念する方もいるのではないでしょうか。
相続税路線価では、借地権7割・底地3割という割合になっているケースがあるため、どのように土地を分割すれば「等価交換」となるのか、ということです。
結論としては、底地と借地権の等価交換の際に、この相続税路線価の基準にしばられる必要はありません。
地主さんと借地人さんの交渉次第で、土地の分け方を決めることが可能です。実務的には、50:50で分けるケースが多いです。
7(借地人):3(地主)の割合で土地を分割する、と紹介しているWebサイトもありますが、これでは地主にとって不利ですので、実務に強い不動産鑑定士などに相談することをおすすめします。当事務所でもお問い合わせを受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
底地と借地権を等価交換する場合、建物の解体費用は通常、借地人が負担します。
しかし借地人が解体費用を捻出できず、等価交換が進められないということもあるかもしれません。
このような場合は、土地をうまく分割することで、建物はそのままに等価交換できることもあります。土地の分割方法についても、不動産鑑定士などの専門家に相談したほうが安心です。
底地と借地権の等価交換は、地主と借地人のそれぞれにメリットのある手法です。
ただし、どのように土地を分割するかについては、その他の税務問題や名義変更なども含め、プロに相談することをお勧めします。
当事務所でも底地と借地権の等価交換についてのご相談を承っておりますので、不動産鑑定士に相談したいという方はお気軽にお問い合わせください。