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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今回のテーマは「借地トラブル!半年分の地代を損しないための対策」です。令和5年の東京地裁での最近の裁判例を基に解説します。
この事案は、借地人が地代を滞納したことで、地主側が土地の明け渡しを勝ち取ったものです。地主さんにとって、ぜひ知っておきたい事案なので、詳しくお話ししていきます。
いつもの通り、最初にお断りしておきますが、この裁判例は東京地裁の下級審での判例であり、事例ごとに前提条件が異なるため、すべてが同じように適用されるわけではありません。この点をご理解ください。
では、事例の概要です。
昭和60年頃にスタートした借地契約で、地代は月額3万円。契約内容としては、半年ごとに地代をまとめて支払う取り決めでした。令和3年、地主さんは、直近の6か月分の地代が未払いであることを理由に、契約解除を通知しました。
これに対し、借地人は「1月から6月末までの6か月分の地代は前年の12月末に先払いしている」と主張。しかし、実際の契約は後払い、つまり1月から6月末までの地代を6月末に支払うという契約でした。この点ですでに借地人の主張には無理がありました。
地主さんは何度も借地人に地代の滞納について説明したものの、聞き入れてもらえず、最終的に裁判所に助けを求めることとなりました。
裁判の結果、借地人の主張は退けられ、地主さんの契約解除と土地の明け渡しが認められました。借地人は訴訟を起こされた後、慌てて未払い分の地代を支払いましたが、時すでに遅く、契約解除を撤回することはできませんでした。
最後に私からのアドバイスです。
地代の支払いが「先払い」か「後払い」かを契約で明確にしておくことが重要です。また、半年払い、年払いにしている場合は、月払いに切り替えることを検討してください。その方が管理がしやすく、未払いのリスクも減ります。今回のように、借地人に「とぼけられる」と、回収が難しくなる可能性がありますので、注意しましょう。
以上、今回は「借地トラブル!半年分の地代を損しないための対策」についてお話ししました。次回もお楽しみに。それでは、今回はここまで。
参考:令和5年1月23日、東京地裁、判決 令4(ワ)216号 建物収去土地明渡等請求事件