立退き・契約解除について

オーナーの修繕義務はどこまで?賃料滞納者への対処法

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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今回のテーマは「オーナーの修繕義務はどこまで?賃料滞納者への対処法」についてです。

今回取り上げるのは、令和4年の東京地裁の裁判例です。内容は、家賃滞納者を立退料なしで退去させることに成功した不動産オーナーの事案です。家賃滞納者を相手にするオーナーの皆さんにとって、非常に参考になるケースだと思いますので、詳しく解説していきます。

まず最初にお断りしておきますが、今回取り上げるのは下級審の判例であり、各事例の前提条件が異なるため、結論が必ずしも一般化できるわけではない点にご注意ください。

それでは、事例の概要を説明します。
このオーナーは、約10年前から賃借人にマンションの一室を月額20万円で貸していました。しかし、賃借人は契約から3年ほど経過した頃から家賃を滞納し始め、滞納と入金を繰り返していました。最近では、3か月分の家賃が未払いとなり、オーナーは契約解除を通知し、建物の退去を求めて訴訟を起こしました。

一方、賃借人は次のように反論しました。「確かに3か月分の家賃は滞納しているが、オーナーは家賃保証会社から家賃を回収している。また、洗面所の漏水やエアコンの故障などの修繕を依頼しても、適切に対応してくれなかったため、抗議の意味で賃料を支払わなかった」と主張しました。

では、裁判所はどのような判断を下したのでしょうか?
結論として、裁判所は賃借人の主張を退け、オーナーの請求を認めました。つまり、オーナーが賃貸借契約を解除し、賃借人を退去させることが正当であると判断したのです。理由は、オーナーが建物の使用に支障がない程度の修繕を行っており、賃借人の不満は正当な理由ではないとされたからです。

最後に、オーナーの修繕義務について簡単に解説します。
賃貸借契約では、オーナーは貸した物件を適切に使用できる状態で提供する義務があります。民法では、物件に不具合が生じた場合、オーナーは修繕義務を負うと定められています。しかし、この裁判例を踏まえると、故障が発生しても、使用に大きな支障がない限り、最低限の修繕で義務を果たしたとみなされるケースがあります。例えば、エアコンが3台中1台故障しても、他の2台が正常に稼働していれば、建物の使用に問題はないと判断されることがあるのです。

オーナーの皆さんも、この事例を参考にして賃貸事業に活かしていただければと思います。
以上、「オーナーの修繕義務はどこまで?賃料滞納者への対処法」でした。今回はここまでです。

参考:令和4年3月17日、東京地裁、判決 令3(ワ)12426号 建物明渡等請求事件