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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは「借地人の相続時、名義変更料は取れる?取れない?」についてです。
今回は視聴者の方からいただいた質問にお答えします。以下のような質問です。
「地主です。先日、借地人の息子さんから『父が亡くなり、借地権を自分が相続したい。手続きをどうすればよいか?』との連絡がありました。この場合、名義変更料を請求してもよいのでしょうか?」
確かに最近は借地人の高齢化が進み、相続が発生するケースも増えてきていますね。順を追って説明します。
まず、借地の名義変更料とはどのようなものなのか、改めて整理しておきましょう。
借地権は基本的に地主の承諾がなければ譲渡、つまり売買できません。
そのため、通常は「譲渡承諾料」や「名義変更料」という名目で、借地権の名義を変更する際に一定の金額を地主が受け取り、譲渡を承諾することになります。譲渡承諾料の相場は借地権価格の10%前後です。
ここで注意すべきなのは、更地の価格ではなく、借地権そのものの価格に対する10%という点です。
次に、今回のケースのように借地人が亡くなり、相続人がその借地権を取得した場合についてです。「相続」は、亡くなった人の財産や権利義務を「当然に」引き継ぐものとされています。そのため、相続による借地権の継承では、法的に地主の譲渡承諾は不要です。
つまり、この場合、譲渡承諾料や名義変更料は法的には請求できないということになります。
借地人の相続時に、名義変更を理由に賃貸借契約を解除してしまいたいと思う方もいるかもしれません。
たしかに法律では、賃借人が賃貸人(地主)に無断で第三者に賃借権を譲渡することは禁止されています。そのため借地権が無断譲渡された場合、原則として借地契約を解除することができます。
しかしたとえ無断譲渡であっても、借地人の行為が地主に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には、借地契約は解除できません。
そして相続については、一見「借地権」が譲渡されているように思えるかもしれませんが、相続人は被相続人(亡くなった方)の地位をそのまま受け継ぐため、借地権の譲渡がされたとはいえないのです。
そのため借地人の相続に伴う契約解除はできない、ということも知っておきましょう。
元々の借地人の相続人は、地主に対して名義変更料を支払う必要がなく、さらに相続を理由にした契約解除もできません。
このような状況で、借地人の相続が発生したら、地主はどのようなことをやっておくべきなのでしょうか。
まず、たとえ法的に借地権の引継ぎに対する承諾が不要であっても、借地人の名義が誰か分からないと困るため、契約書の名義を書き換えておくことをお勧めします。
また、借地人との取り決めによっては、相続の際に双方の合意の上で少額の名義変更料を支払うといった合意がある場合もあります。例えば10万円程度などです。法的には請求できなくても、事前の合意があれば請求することが可能です。
借地人の相続が発生し、具体的にどのような手続きをしておけばいいのか分からず迷っている方は、ぜひ当事務所へもご相談ください。
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