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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
不動産の等価交換は、大きな不動産取引の一つですが、実は知らないと大損してしまうかもしれない注意点があります。今回は地主が知っておくべき不動産の等価交換の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
等価交換とは
まずは「等価交換」がどのような取引なのか知っておきましょう。
民法における「交換契約」とは、金銭を除く所有物の財産権を移転しあうと約束する契約です。(財産権の対価に金銭を支払うと売買契約となります)
そして等価交換とは、同じ価値のものを交換する契約です。
たとえば、Aさんが所有するX土地と、Bさんが所有するY土地が同じ価値の場合、これを交換するのが等価交換です。(実務上は、まったく同じ価値でなくても等価交換とみなされますが、詳しい条件は後述します)
もしくは不動産においては、底地と借地権の等価交換が行われることもあります。土地を二分して、それぞれの借地権と底地を交換すると、借地権が消滅し、双方が自由に使える完全な所有権を手に入れることができるのです。
関連記事:底地と借地権の等価交換とは?仕組みや土地の分割方法を不動産鑑定士が解説!
不動産の等価交換で損をしないための注意点
さて、不動産の等価交換で損をしないために地主が知っておくべき注意点としては、次の3点が挙げられます。
- 譲渡益にかかる税金を免除する条件
- 等価交換する当事者の不満を解消する措置
- 交換する不動産の選定
それぞれ詳しく見ていきましょう。
譲渡益にかかる税金を免除する条件
まず、不動産の等価交換で最も重要なポイントは税金面の配慮です。交換という行為を分解すると、実質的には「売却」と「購入」を同時に行うことと同じです。通常、不動産を売却すると譲渡益に対して税金が発生します。しかし、交換の場合、利益が出てもその利益は手元に残りません。なぜなら、売却金は交換のための別の不動産購入に充てられるからです。手元にお金が残らないのに税金だけが発生するのは不公平ですよね。
そこで税法では、不動産の交換特例という制度が設けられています。この特例を使うことで、一定の条件を満たせば譲渡益にかかる税金が免除されます。この制度の条件の一つに、交換する不動産の価格差が「2割以内」であることが挙げられます。例えば、1億円の不動産と8000万円の不動産を交換する場合、価格差が2000万円以内であれば、税務上「等価」、つまり同じ価格とみなされます。
等価交換する当事者の不満を解消する措置
この譲渡益にかかる税金を免除する条件における「等価」は、あくまで税務上の話です。交換する当事者同士の関係が良好であれば問題ありませんが、そうでない場合、トラブルの原因になり得ます。例えば、1億円の不動産を持っている人が8000万円の不動産と交換したとします。税務上は「等価」として認められても、実際には2000万円の差があるため、一方が不満を抱くことも考えられます。特に、大きな額の取引では、このような問題が顕在化することがありますので、慎重に進めることが大切です。
交換する不動産の選定
さらに、不動産の価値は常に変動します。将来の市場動向や需要をしっかり見極め、交換する不動産を選ぶことが重要です。こうしたリスクを十分に理解し、トラブルを避けるために、事前にしっかりと話し合うことが必要です。
不動産の等価交換で損をしないためには不動産鑑定士に相談!
不動産の等価交換でかかる税金に関しては、税理士の先生に相談することが多いです。
しかし不動産に特化した相談、たとえば等価交換する不動産が、本当に極めて等価だといえるのかどうかは、不動産鑑定士に相談するのがおすすめです。
不動産は二つとして同じものがないため、本当に交換する価値があるものかどうかは、総合的な観点から判断しなければなりません。思いがけず不動産の等価交換で損をしてしまわないようにするためにも、ぜひ当事務所へ一度ご相談ください。
