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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
「地代について貸主・借主の見解が合わず、裁判所の判断を仰ごうとすると、結局両者主張の金額の中間値になる」という噂を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
実は不動産鑑定士の仕事を20年くらいやっていると、裁判所が地代をどのくらいに設定するのか、肌感覚でわかってくるものなんですよね。
ということで、今回は、地代裁判における裁判所の判断は、地主と借地人が主張する金額の中間になるか?という話と、どうせ中間をとられてしまうのならば、あらかじめ多めの請求額にしたほうがいいのか?という事について話をします。
結論からいうと、裁判所の判断は、貸主・借主両者の主張の「中間」になるとは限りません。
裁判では、主に、次の3つの要素を総合的に判断し、最も合理的な金額が決められる、と言えます。
それぞれの根拠について、詳しく見ていきましょう。
裁判所は、賃料に関する契約内容を重視します。
具体的には、今の賃料がいつから改定されていないか?という点も重要です。ケースバイケースではありますが、長年改定していないほうが値上げの主張が認められやすい傾向にあります。
関連記事:直近合意時点とは?あえて合意更新しないで賃料増額を勝ち取る作戦を不動産鑑定士が解説!
周辺の土地の賃料相場も、重要な参考資料となります。
土地相場はわかりにくいので、実務上、不動産鑑定書による説得力が重要となります。
地代をあげたい地主さんにとっては、経験のある不動産鑑定士に相談することが大切になってきます。
逆に、無理筋な値上げ金額を提示すると、「この地主さんは無茶苦茶な事を言ってきています」ということで話が通らなくなったりします。
三つ目のポイントは、当事者の交渉経緯です。
具体的には、これまで何度も賃料交渉を持ち掛けているのに、借地人のほうが話し合いのテーブルに一切付いてこなかった、などの経緯も考慮されることになります。
「裁判所の示す地代は中間値になる」というのは、結果論だといえます。
たとえば地主が月額5万円、借地人が月額3万円を主張し、裁判所が月額4万円が適正地代と示せば、「やはり中間だった」と思うかもしれません。
しかし裁判所が示す地代は、決して中間値ではなく、不動産鑑定書、周辺相場などを総合的に判断した結果です。
そのため実際には、地主側の主張が認められることもあれば、借地人の主張に近い金額になることもあります。
関連記事:地代・借地料の相場はどのくらい?計算方法を不動産鑑定士が解説!
それでは結局のところ、裁判で主張すべき地代はいくらなのでしょうか。
不動産鑑定士としての経験を踏まえて地主さんに対してアドバイスをさせていただきます。
地主さんに一番注意してほしいのが、あまり法外に高い要求をぶつけないことです。
通常の感覚からして、法外な要求であると裁判官に判断されてしまうような場合、裁判官の心証がわるくなって、地主さんの立場になってあまり物事を考えてくれないケースも多くみてきました。
つまりは勝てる裁判も勝てなくなってしまう、ということです。
裁判で主張すべき地代については、事前に不動産鑑定士とよく相談するなど専門家をうまく活用してもらいたいと思います。
当事務所でも地代についてのご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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