下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。
皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今日は、地主さんにとって悩ましい「借地権の更新料」についてお話しします。
地主さんの多くが「更新料は取れるのか?」という悩みを抱えていることでしょう。実際、更新料を取るタイミングは20年に一度など、限られたチャンスしかありません。そのため、更新料をどのようにスムーズに取るか、というのは非常に重要なテーマです。
そこで今回は、地主さんが更新料を取りやすくするための方法について、私なりの考えをお伝えします。こちらをご覧いただくことで、更新料の取り方に関するヒントが得られる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
更新料は賃料の一部なのか?
まず更新料を請求するときに話題になるのが、更新料が「賃料の一部かどうか」という問題です。
地主さんとしては、「地代が安いから更新料で補いたい」と思うかもしれません。
しかし、借地人側にとって更新料は単なる賃料の一部ではなく、一種の「解決金」のような意味合いを持っている場合もあります。
裁判例を見てみると、「更新料は賃料の一部」とする判例もあれば、「賃料と関係ない」とする判例もあります。
このため、契約内容によってケースバイケースで判断されることが多いのです。もし裁判に持ち込まれる前に、できるだけスムーズに更新料を取る方法を考えることが重要です。
※裁判の結果、法定更新に持ち込まれてしまうと、更新料を請求できないこともあります。
関連記事:裁判所は更新料の支払い慣行を認めていない?「合意更新」と「法定更新」の違いを不動産鑑定士が解説!
更新料をスムーズに取るための3つのコツ
では、地主さんが更新料を取るために、どのように交渉すればよいのか?私からのアドバイスを3つご紹介します。
- 借地人の気持ちを理解する
- 借地人に関する情報を集める
- 借地人と良好な関係を築く
1. 借地人の気持ちを理解する
まず、交渉において大切なことは、どちらか一方だけにメリットがある場合、交渉がうまくいかない可能性が高いということです。
更新料の交渉を例に挙げると、地主にとっては更新料を得られる一方で、借地人は支払うだけのように見えるかもしれません。しかし、このような近視眼的な交渉では、ほとんどのケースでうまくいきません。
借地人にとって、更新料は「解決金」のようなものです。借地人が地主さんとトラブルを避け、円満に更新契約を結びたいと思う気持ちを汲み取ることが大切です。
2. 借地人に関する情報を集める
交渉を進めるうえで重要なのは、借地人に対して「更新料を支払うメリット」を伝えることです。借地人にとってのメリットは、一言で言えば「地主との円満な関係を続けられること」です。
そして借地人に対して更新料を支払うメリットを伝えるためには、借地人に関する情報を集めておく必要があります。
たとえば借地人が近い将来、建物の建替えや相続を予定しているか、その他の事情がないかを観察しましょう。これにより、更新料の交渉の余地や金額に影響を与える可能性があります。
3. 借地人と良好な関係を築く
借地人との関係が険悪な場合、借地人としては更新料を支払うインセンティブが薄れます。そのため日ごろから良好な関係を築き、更新料を支払うことで、今後もスムーズな契約が続くという安心感を与えることが重要です。
なお、借地人としても、できれば地主と良好な関係を築きたいと考えているケースが多いでしょう。もし、借地人と地主が円満な関係を築けていなければ、借地権は実質的に価値がなくなってしまう可能性があるためです。たとえば借地人が将来、借地権を売却しようとした場合、地主の承諾が得られなければ、その取引は成立しません。
法的には、裁判所が地主に代わって承諾する制度もありますが、実際の不動産取引では、地主とトラブルがある借地権は取引相手を見つけるのが非常に難しいのです。(とくに地主とのトラブルがある借地権は、いくら安くても買い手がつかないのが現実です)
なお、借地人と地主の関係は地代に影響を及ぼすこともあります。詳しくは下記の記事もご覧ください。
関連記事:借地人と地主の関係は地代に影響する?不動産鑑定士からのアドバイスを紹介!
借地の更新料の請求についての悩みは不動産鑑定士にも相談!
更新料の取り方についての基本的な考え方と、地主さんが取るべきアクションについてお話ししました。これらのアドバイスを実践することで、地主さんにとって有利な更新料の交渉ができるかもしれません。
なお、具体的に更新料をいくらにすべきかなど、更新料の請求についての悩みは不動産鑑定士に相談することも可能です。当事務所でも更新料にお悩みの地主を数多くサポートしてきた実績がありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。