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こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
このブログでは、地主さん向けに役立つ情報をお届けしています。
今回のテーマは「今さら聞けない『底地』の徹底解説」。今回は、前編としてお話しします。
「底地」について、親から相続することになりそうだけど、そもそも底地とは何かが分からない…。こういったお悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。たとえば、父親が元気なうちはすべて父親が管理していて、子どもたちは土地のことにノータッチというケースが多いんですね。しかし、父親が体調を崩し、いざ相続することになってから初めて「底地って何だろう?」と慌てて調べる、という事例は少なくありません。
何の知識もないまま、誰かに任せっきりにしてしまうと、お金の面で知らずに損をしたり、税金の節約のタイミングを逃してしまうことにもつながります。
そこで今回の「底地の徹底解説」では、底地に関する基本的な知識と注意点を分かりやすくお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
今回お話しする内容は以下の通りです:
- 底地とは?
- 底地の問題
① 地代の値上げ
② 更新料
③ 承諾料
④ 相続 - 借地の整理
- 解決策
前編では、1の「底地とは?」と、2の「底地の問題」について取り上げます。次回の後編では、3と4、つまり問題点の解決策について詳しくお話しします。
では、具体的に説明していきます。
- 底地とは?
底地とは「借地権」という権利が付いている土地のことです。借地権とは、土地の借り手(借地人)が持っている権利を指します。借地人は、建物を建てるために土地を借り、その賃料を地主に支払います。この借地権が付いている土地を「底地」と呼ぶのです。
- 底地の問題
借地権は、地主さんにとって非常にやっかいなものです。通常、借りたものは返すのが常識ですよね?しかし、この常識が借地では通用しません。なぜなら、借地人は「借地借家法」という法律で保護されており、借り続ける権利が保証されているからです。契約更新時に借地人が引き続き土地を借りることを希望すれば、極端な話、地主が土地を取り戻すのは非常に困難になります。結果として、地主は自分の土地を自由に使えない状況が続くのです。
ここでは、主な問題点を4つに分けて解説します。
① 地代の値上げ
土地の賃料を「地代」と言いますが、この値上げが非常に難しくなっています。その原因の1つが「法定更新」という制度です。
法定更新とは、契約期間が終了しても、借地人が引き続き借りることを希望する場合に、自動的に契約が更新される仕組みです。本来であれば、契約更新時に賃料や条件を交渉し、合意できなければ契約を終了させることができるのが通常です。しかし、法定更新によって地主側が条件交渉の主導権を握ることが難しくなっています。
これを解決するには、まず地代の相場を把握し、タイミングを見逃さず繰り返し請求していくことが重要です。
② 更新料
更新料とは、土地賃貸借契約の期間満了時に地主が借地人から受け取る一時金のことです。しかし、契約期間が長いため、一生のうちで更新料を受け取れるタイミングはそれほど多くありません。また、更新料を取れないケースも少なくありません。
更新料を確実に受け取るためには、事前の準備が非常に重要です。
③ 承諾料
次に承諾料についてです。代表的なものとして「譲渡承諾料」が挙げられます。これは、借地人が借地権を第三者に売る際に、地主が承諾することで得られる手数料です。このタイミングは、土地を取り戻すチャンスにもなり得ます。なぜなら、借地人が土地を借り続ける権利を放棄するタイミングだからです。
また、「建替え承諾料」や「条件変更承諾料」などもありますが、これらについても知識を蓄えておくことが大切です。
④ 底地の相続
最後に、底地と相続についてです。大きく2つの問題があります。
1つ目は、借地人との感情的な問題を次世代に引き継いでしまう点です。親世代のトラブルやストレスがそのまま相続され、次世代の地主が不満を抱えるケースが多々あります。
2つ目は、底地に課せられる相続税です。底地は実際には高値で売れないにもかかわらず、相続税の計算では「路線価」という評価基準が用いられるため、結果的に大きな税負担を強いられる場合があります。
ここまで、底地の基本的な説明と、地主さんが直面しやすい問題点についてお話ししました。
次回の後編では、「借地の整理」と「解決策」について詳しく解説していきますので、ぜひご覧ください。
以上、「今さら聞けない『底地』の徹底解説 前編」をお届けしました。次回の後編もぜひご覧ください。