地主のための基礎知識

底地のある地主は2代で資産を失う?資産の守り方を不動産鑑定士が紹介!

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こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今回のテーマは「地主は2代で資産を失うかも!?」です。

「地主は3代で資産を失う」と聞いたことはありますか?
先祖代々受け継いできた土地をあなたの代で失ってしまうなんて、想像するだけでも嫌ですよね。ですが、何の対策も講じなければ、現実にそうなる可能性があります。

さらに、地主は3代どころか2代で資産を失うかもしれないのです。

そこでこの記事では、なぜ地主が資産を失ってしまうのかと、どうすれば資産を守れるのかについて、不動産鑑定士の目線から紹介します。

なぜ地主は資産を失うのか?

なぜ地主は資産を失うのか。

よく耳にする理由の1つは相続税の高さです。相続税の最高税率はなんと55%。単純計算で、相続のたびに半分以上の財産が失われるため、「地主は3代で資産を失う」と言われています。

しかし今回は、特に底地を所有する地主さんに向けて、ほかではあまり聞けない内容をお話しします。実は、底地を持っている場合、下手をすると1代で資産を失ってしまうケースもあり得るのです。これは非常に衝撃的な事実です。

相続税の高さ

相続とは、亡くなった方の財産を遺族、つまり相続人が受け継ぐことです。よくあるケースとしては、亡くなった方の配偶者と子どもが相続人になる場合です。

相続税とは、亡くなった方が所有していた財産の評価額に基づき、相続人が支払う税金です。相続税を計算する際、都市部の土地は通常「路線価」で評価されます。路線価とは、税務署が定める土地の価格で、相続税や贈与税を計算する基準となるものです。

そして現行の相続税の最高税率は55%と非常に高い水準に設定されています。

財産の評価額が高いほど税額も大きくなる仕組みであるため、多くの土地を持ちながら現金が少ない地主さんにとっては、大きな負担となります。

納税資金を捻出するために、不動産を売らなければならないケースもあります。売り急ぐ場合、相場より安い金額で売らなければならない可能性もゼロではありません。

そのため計画的に相続対策をしていないと、資産が減ってしまうのです。

底地の相続税評価額と実勢価格の乖離

冒頭で、底地を持っている場合、下手をすると1代で資産を失ってしまうケースもあると紹介しました。

その理由が、底地の「相続税評価額」と「実勢価格」が乖離していることです。

底地とは、借地権が付いている土地のことを指します。

関連記事:底地とは?地主が抱える悩みや対処法とあわせて解説!

借地権とは、借地人が建物を建てるための権利です。

このような底地は、実際には売りにくく、売れたとしても非常に安価で取引されることが多いのが現状です。

関連記事:底地の売値の決まり方は?相場や計算方法を不動産鑑定士が解説!

さきほど相続税の計算では、実際に土地が売れる金額ではなく、あくまで「評価額」で算出されると紹介しました。

相続税評価額<実勢価格なら、一種の相続対策ともなります。しかし底地は、相続税評価額>実勢価格となってしまうケースもあるのです。

例えば、ある底地が市場で2,000万円でしか売れないにもかかわらず、相続税の計算上の評価額が4,000万円とされる場合があります。もし相続税の税率が50%なら、相続税として2,000万円を支払う必要があります。

つまり、2,000万円でしか売れない底地を相続しても、結果として資産がゼロになる、もしくはマイナスになる可能性があるのです。これが「地主は3代どころか、1代で資産を失うことがある」と言われる理由です。

さらに、「自分は底地を持っていないから大丈夫」と思っている方も要注意です。共有地や共同所有のビルなど、複数人で所有する不動産をお持ちではありませんか?これらも底地と同様のリスクを抱えています。

底地のある地主の相続対策

では、このようなリスクを避けるためにはどうすればよいのでしょうか?
1つの対策として、相続の前に底地を売却してしまう方法があります。相続前に売却すれば、相続税は売却額(例:2,000万円)を基準に計算されるため、資産をゼロにする事態は避けられます。

ただし、売却額が安くなってしまう点には注意が必要です。より多くの資産を残したい場合には、相続が発生する前に権利関係を整理し、不動産の状態をすっきりさせておくことが有効です。

関連記事:底地を高値で売るにはどうする?売却先やよくある失敗を解説!

なお、ケースバイケースで最適な方法が異なるため、専門家に相談することをお勧めします。また、相続後に売却した方が有利な場合もあるため、こちらの動画「相続税3,000万円問題」を参考にしてください。

当事務所でも、底地をもった地主の方からの相談を承っております。それぞれの方の状況にあわせたアドバイスも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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