借地契約のトラブル・リスク対策

地主の土地が愛人の実効支配で奪われる?地主の相続トラブルを防ぐ方法を不動産鑑定士が紹介

こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今日は「愛人の実効支配により、地主の土地が奪われたケース」についてお話しします。少し特殊な事例ですが、法律や不動産を学んでいる方にとっては非常に興味深い判例ですので、ぜひご覧ください。

愛人の実効支配で地主の土地が奪われた実例

複数の土地を所有している大地主には、愛人がいました。

そして地主は愛人のために、たくさんある土地の1つを提供し、愛人がそこに家を建て、住んでいました。

この状態で地主が亡くなり、相続人が「土地を返してほしい」と要求しました。

しかし愛人側は「実効支配していたため、土地を取得した」と主張したのです。

この事案では、結局愛人側が保護される結果となりました。なぜなら、取得時効が認められたからです。

裁判例の詳細

裁判年月日:令和4年5月27日

裁判所名:東京地裁

事件番号:令2(ワ)25294号

事件名:建物収去土地明渡請求事件

取得時効とは?

取得時効とは、簡単に言うと、他人の土地を長期間実行支配していれば、その土地を自分のものとして取得できる制度です。具体的には、20年間実行支配を続けることで、その土地を所有する権利を得ることができます。民法で認められている制度です。

先ほど紹介した事件での争点は、地主の相続人は「土地を貸している」と主張した一方、愛人側は「土地を贈与された、または取得時効で自分のものになった」と主張した点です。

地主側は、賃料を請求せず、固定資産税を地主自身が支払っていたことを根拠に、土地の使用貸借契約を主張し、返還を求めました。
一方で愛人側は、契約書がなくても土地は贈与されたものだと主張し、それが認められなければ取得時効を主張しました。

最終的に、裁判所は愛人側の主張を認め、土地が愛人に取得時効で帰属するという判断を下しました。このように、土地を長期間使用していたことが、所有権を得るための根拠となりました。

地主の相続トラブルを防ぐには遺言書の準備が大切

不動産鑑定士である私なりの意見として、この問題の根本的な原因は「遺言書の有無」にあると考えています。地主が愛人に土地を提供したこと自体も問題ですが、亡くなった後にトラブルが起きるのを防ぐためには、しっかりとした遺言書を残すことが重要です。遺言書を残していれば、相続に関する問題は事前に解決できます。

また、この愛人は実際には「後妻」と呼ばれる立場であり、法律的には婚姻届を出していないものの、再婚した妻のような関係だったようです。こういった場合、遺言書で土地を遺贈する旨と、なぜ遺贈するのか遺言者本人の気持ちを書いておくと、相続トラブルの可能性を最小限に抑えられます。

土地や不動産を所有している方々は、将来のトラブルを避けるために、遺言書を準備することが大切です。

地主の相続において不動産鑑定士が果たす役割

相続というと、弁護士や司法書士、税理士を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、地主の相続においては「不動産鑑定士」も力を発揮します。

とくに相続対策については、不動産鑑定士が保有建物・土地の評価額を算定し、税理士と連携して相続税額を試算、その上で生前贈与や遺言書の作成、資産の組み替えなど、さまざまな対策計画を提案することが可能です。

もし地主の相続対策について気になることがありましたら、ぜひ当事務所へご相談ください。地主の方の相続対策を数多くサポートしてきた経験を活かし、他の専門家とも連携しながら、最適な対策方法をご提案させていただきます。

関連記事:地主の相続対策は何から始める?不動産評価の重要性を解説!

当サイトの管理者

  • 三原 一洋
  • 株式会社日本橋鑑定総合事務所 代表取締役
  • 不動産鑑定士 (国土交通省登録No.7765)
    公認不動産コンサルティングマスター
    相続対策専門士

  • 1975年和歌山県生まれ。
  • 不動産鑑定事務所から、ファイナンス会社の不動産評価、融資審査業務を経て、2006年に株式会社日本橋鑑定総合事務所を設立。
  • 地主・不動産オーナーが直面する「不動産問題」の解決を得意とする。

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