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外国人がもつ永代地上権とは?その成り立ちと歴史を解説
こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今回のテーマは「外国人がもつ永代地上権」についてです。前回の「永代地上権」に続き、今回は特に外国人が関与する永代地上権の成り立ちに焦点を当て、歴史的背景と判例を読み解きながら解説していきます。
地上権とは?
まず、地上権とは民法第265条で定められた「他人の土地を使用する権利」のことです。地上権についての詳細は、別の動画で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
今回取り上げる「外国人の永代地上権」は、歴史的な特別な成り立ちがあります。簡単に言うと、明治時代において外国人が日本国内で土地を所有することが禁止されていたため、その代替措置として永代借地権が認められたことが起源です。ここから、この特別な権利が形成されていきました。
外国人の永代地上権が生まれた背景
外国人永代地上権の成り立ちを、歴史的な流れに沿って見ていきましょう。
- 明治初期の頃
明治政府は外国人が土地の所有権を持つことを禁止しました。そこで、外国人には永代に土地を借りる権利、つまり永代借地権が認められました。これは、賃料を支払うことで永続的に土地を利用することができる権利です。 - 明治31年:明治民法の施行
この時点で地上権の規定はありましたが、永代借地権を直接規定する法律はありませんでした。 - 明治32年:治外法権を定める条約改正
外国人居留地が日本に返還されました。外国人居留地とは、外国人の居住を特別に認めた区域のことで、横浜、長崎、神戸、大阪、東京などに存在していました。東京では築地がその代表例です。返還後も永代借地権は有効とされ、外国人は引き続きこれらの地域に住み続けました。 - 明治34年:外国人永代借地権法の施行
この法律により、外国人の永代借地権は所有権に準ずる権利として明確に位置づけられることになりました。
現在の外国人永代地上権
永代地上権は、その後も存続し、現在でも外国人が所有しているケースもあれば、日本人に引き継がれているケースもあります。歴史的背景を理解することで、こうした特殊な不動産権利がどのように形成され、なぜ存続しているのかが見えてきます。
判例を通じて知る永代地上権
今回の解説に関連する判例を以下にご紹介します。詳細を知りたい方はぜひご確認ください。
- 裁判年月日:令和4年4月15日
- 裁判所名:東京地裁
- 事件番号:平31(ワ)6071号
- 事件名:所有権確認請求事件
- 文献番号:2022WLJPCA04158017