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地主にとって良い不動産鑑定士の選び方
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今日は「地主にとって良い不動産鑑定士の選び方」についてお話ししたいと思います。
先日、ある地主の方が相談に来られました。その方は、不動産鑑定士が賃料の鑑定に慣れている方が少ないのではないかと感じており、先祖代々の大切な土地の相談は信頼できる専門家にしたいというご意見でした。今回は、賃料の相談において、どのような不動産鑑定士に相談すべきか、少しお話をさせていただきます。
- 賃料の評価実績
まず最初に重要なのは、その不動産鑑定士が賃料評価の実績が豊富かどうかです。
不動産鑑定士の専門分野はさまざまで、賃料の評価に関しては経験が少ない事務所もあります。例えば、国交省のデータによると、2017年の1年間で全国の不動産鑑定士が賃料の鑑定評価を受けた件数は2,674件でした。この件数を登録者数8,207人で割ると、不動産鑑定士1人あたり0.33件。つまり、約3年に1回の頻度でしか賃料の評価を行っていない計算になります。賃料鑑定の依頼は、実績が多い事務所に集中するため、経験が少ないこともあります。
- 賃料鑑定以外の相談に対応してくれるか
不動産鑑定士に賃料の相談をする場合、単に評価を聞くだけではもったいないです。
契約書を見てもらい、不動産鑑定士からの評価の視点でアドバイスを受けることが重要です。特に地主にとって不利な契約が結ばれていた場合、それをどう改善するか、過去の判例を踏まえた不動産評価の視点でアドバイスをもらえるかどうかも大きなポイントです。
不動産評価のアプローチを理解している鑑定士であれば、単に金額を算出するだけでなく、土地を守るための戦略も提案してくれるでしょう。
- 弁護士との連携がうまく取れるか
賃料の問題が最終的に調停や訴訟に発展することもあります。その際、不動産鑑定士と弁護士が連携して解決に向けたサポートを行うことが重要です。
不動産鑑定士は、依頼者の代理人として弁護士とコミュニケーションを取りながら、不動産鑑定の立場から意見を述べたり、アドバイスをしたりします。鑑定評価書を作成しただけで終わるのではなく、最終的に解決へ導くために、適切なタイミングでフォローをしてくれる鑑定士が理想です。
- 地主の気持ちを理解し、親身に相談に乗ってくれるか
最後に最も重要なポイントは、地主の気持ちを理解し、親身に相談に乗ってくれるかどうかです。
先日、ある地主の方が他の不動産鑑定士に相談した際、「底地ですか・・・こういうのは売ってしまえばよいんですよ」と言われてショックを受けたという話を聞きました。また、別の不動産鑑定士に相談したところ、鑑定を依頼するかどうかの2択だけを提示され、全く相談できなかったそうです。
土地を守る覚悟がある地主にとって、こうした対応は非常にショックなものです。地主の案件は一生に関わることも多いため、信頼できる専門家を見つけることが重要です。
- 専門家選びの方法
良い不動産鑑定士を選ぶためには、事務所のホームページや都道府県ごとの不動産鑑定士協会を活用するのも一つの方法です。
それでも、最も重要なのは実際に相談し、鑑定士の対応を見て判断することです。親身にアドバイスをくれるかどうか、専門的な知識を持っているかどうか、信頼できるかどうかをしっかりと見極めましょう。
まとめ
地主にとって、賃料の相談や不動産評価は非常に重要な問題です。
賃料評価の実績、他の相談にも対応してくれるか、弁護士との連携、そして何より地主の気持ちを理解し、親身に相談に乗ってくれる不動産鑑定士を選ぶことが大切です。信頼できる専門家を見つけるためには、しっかりと調べ、実際に相談して判断することが必要です。
以上、今回は「地主にとって良い不動産鑑定士の選び方」についてお話ししました。
それでは、今日の話はここまでです。また次回をお楽しみに!