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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
相続手続きなどを経て、兄弟姉妹で土地を共有するケースも珍しいものではありません。
しかし不動産の共有はあまり好ましい状態ではないとされており、トラブルが発生することもあります。
そこで今日は、少しレアなケースかもしれませんが、共有の土地を兄弟で売却する場合に、片方のみが契約後に何らかの事情で「契約解除したい」と考えた場合の注意点について取り上げます。
共有物件とは、例えば兄弟2人が1つの土地を共有しているようなケースを指します。共有物件の場合、その持分の割合はケースバイケースで、各自の持分を売ることもできますし、共有者全員で一緒に売ることも可能です。
共有名義の土地を売却する方法は、いくつかのケースに分けられます。
まず、共有持分権者全員の同意を得て売却する方法です。この方法なら、土地の所有権すべてを売却できます。ただし共有持分権者のうち1人でも売却に反対すれば、売買契約は締結できません。
2番目の方法は、共有持分権者の同意が得られない場合に、自分の持分のみを売却する方法です。この共有持分のみを売却するなら、共有者の同意は一切必要ありません。土地の権利の一部だけを買いたいという個人はあまりいませんが、共有持分を買い取っている業者は存在します。
3番目の方法は、自分の持分を、他の共有持分権者に売却する方法です。先述した共有持分の買取業者は、この方法での収益化を狙っています。「共有持分を買い集めて単独所有権にした後に、第三者へ転売する」もしくは「他の共有者へ共有持分を売却する」という戦略を取っているのです。
最後の方法としては、共有持分割合に応じて分筆する方法が挙げられます。分筆、つまり土地を細分化して登記し、完全な所有権の土地を複数作ってから売却するのです。
それでは具体的な事案として、兄と弟が共有している土地を第三者に売却するケースを考えましょう。
この土地を兄弟でそれぞれの持分を合わせて売ることを合意し、売買契約を締結しました。(先述した1番目の方法、「共有持分権者全員の同意を得た売却」です)
しかし、約束した日までに買主から代金の支払いがなかったとします。
このとき、兄は契約を解除せずに、引き続き買主に土地を売りたいと考えていますが、弟は契約を一度破棄したいと考えているとしたら、どうなってしまうのでしょう。
実はこの場合、弟は単独で契約解除できないことになります。
民法では、共有不動産の売買契約を解除する場合も、共有者全員の同意が必要だとされているためです。
したがって、弟が契約解除を希望する場合は、兄を説得して共有者全員が一緒に解除する必要があります。
共有者が親族以外、例えば先述した「共有持分を買い取っている不動産会社」である場合も、このような契約解除がよく問題になります。
このような場合、契約解除の説得が難しく、トラブルが深刻化する可能性があります。
親族であれば話し合いで解決できることも多いですが、第三者が関わっていると、意思疎通がうまくいかず、契約解除の調整が困難になることが多いのです。
不動産鑑定士としてのアドバイスですが、共有物件の売却契約を結んだ後、解除するのは容易ではないということを理解しておくことが重要です。
特に、共有者の中に親族以外の第三者が含まれている場合は、契約内容の見直しを弁護士などの専門家に依頼することを強くお勧めします。
共有物件の売却においては、契約後に解除を希望する場合、共有者全員の同意が必要であることを覚えておきましょう。契約解除に関しては、特に親族以外の第三者が共有者となっている場合、調整が難航する可能性があります。慎重に進めることが大切です。
また、トラブルになってしまった後は弁護士にしか相談できませんが、「将来的に兄弟で土地をどのように活用すべきか、地主としての戦略を考えたい」という場合は、不動産鑑定士に相談するのがおすすめです。
当事務所でも地主の方からの相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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