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共有物分割訴訟、裁判に勝つ秘訣はこれ
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今日は「共有物分割訴訟、裁判に勝つ秘訣はこれ。」についてお話ししたいと思います。
最近の判例から、共有物分割においては、不動産鑑定が非常に重要であるということを強調したいと思います。
共有物とは?
共有物とは、1つの不動産を複数の人で所有している状態を指します。
例えば、実家の土地建物を兄弟で半分ずつ共同名義で持っている場合が典型的な例です。
私たち不動産鑑定士は、相続において共有物は絶対に避けるべきだと常日頃から相談者に伝えています。なぜなら、共有物にはさまざまなトラブルや修羅場がつきものだからです。
共有物分割の事例
例えば、兄弟で共有名義の実家があるとします。
その実家に住んでいる兄は、「この実家を引き継いで、ずっと住みたい」と考え、土地建物を100%自分の名義にしたいと希望しています。
この場合、土地建物の適正な評価額を算出し、その50%相当の金額をキャッシュで支払って、弟の名義を買い取ることになります。
しかし、もしこの話し合いがスムーズにいかず、土地建物を巡って揉め、裁判に発展した場合、どのように評価を進めるべきかが重要になります。
裁判で不動産鑑定が必要な理由
裁判において、よくあるのは不動産業者の査定書や自己判断で相場を調べた資料を提出するケースです。しかし、これらの書類は通常、裁判所では認められません。
過去の判例でも、以下のようなケースがありました。
判例の紹介
ある裁判で、当事者Aが不動産業者が作成した査定書を提出し、当事者Bは不動産鑑定士が作成した鑑定書を提出しました。
結果として、裁判所はBの鑑定書を採用しました。その理由は以下の通りです。
- Aの査定書は、不動産業者が作成したものであり、専門的な不動産鑑定士によるものではなかった。
- そのため、価格算出の手法や過程が合理的であるとは認められず、業者の査定書は否定された。
つまり、裁判所は不動産鑑定士の鑑定書を信用したわけです。
共有不動産のトラブルが起きる前に
もし共有不動産でお悩みがあれば、早めに不動産鑑定士に相談することを強くお勧めします。
不動産鑑定士は、争いが起きる前に相談することでも、問題を早期に解決するための手助けをすることができます。
共有物問題が発生した場合、最初は弁護士に相談することが多いですが、弁護士には法律的なアドバイスを、不動産鑑定士には評価面でのアドバイスを受けると、問題解決がスムーズになります。
結論
共有物分割の問題は、揉める前に専門家である不動産鑑定士と弁護士に相談することが重要です。
裁判になってからでは、専門的な評価が欠かせないことが多いため、早期の段階で適切な評価を受けることが解決への近道です。
参考判例例
裁判年月日:令和4年4月6日
裁判所名:東京地裁
裁判区分:判決
事件番号:令3(ワ)11786号
事件名:共有物分割等請求事件
文献番号:2022WLJPCA04068001
以上、今回のテーマは「共有物分割訴訟、裁判に勝つ秘訣はこれ。」についてでした。
では、今日の話はここまで。また次回お会いしましょう!