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こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは「地価上昇で賃料値上げ請求したら値下げされる?!」についてです。
最近、地価が上昇している傾向にあります。オーナーの皆さんは、この地価の上昇を背景に賃料の値上げを考えているかもしれません。
しかし、賃料の値上げを交渉した結果、逆に値下げを請求される可能性があることをご存知でしょうか?今回は、そういったケースについて詳しく解説します。
なぜ賃料値上げ請求が「値下げ」につながる?
なぜ賃料値上げ請求が、反対の「値下げ」につながってしまうのでしょうか。それは、過去の「直近合意時点」の地価が、現在よりも高かった可能性があるためです。
直近合意時点とは、現在の賃料を決めた時点のことを指します。もう少し詳細には、賃貸借契約の当事者が、現実に合意した賃料のうち、直近のものを定めた時点が「直近合意時点」です。
関連記事:直近合意時点とは?あえて合意更新しないで賃料増額を勝ち取る作戦を不動産鑑定士が解説!
この直近合意時点は、賃料増減額請求の際に、「賃料の基準」となります。直近の合意時点からどのくらい経済情勢が変化し、現在の賃料が不相当になっているのかを見て、賃料の増減額が判断されるということです。
たとえば借地の地価が、現在1,000万円だとします。そして「直近合意時点」がバブル崩壊前の平成初期で、そのときの地価は1,200万円だったとしましょう。このような背景の中で賃料値上げ請求をすると、逆に「直近合意時点の地価は1,200万円で、今の地価は1,000万円なのだから、家賃を値下げするべきだ」と言われかねないのです。
賃料値上げ請求が「値下げ」につながった事例
それでは実際に、賃料値上げ請求が「値下げ」につながった事例について見ていきましょう。
事例1: 六本木の家電量販店
あるビルのオーナーが、六本木にある家電量販店の店舗の賃料を、現行月額1000万円から約4000万円に値上げしようとした事例があります。現行の賃料が近隣相場よりも安いと考えたオーナーは、賃料の4倍にあたる金額を請求したのです。しかし、テナント側は逆に「現在の家賃1000万円が高すぎる」と主張し、約870万円への減額請求をしてきました。このように、値上げを考えていたものの、逆に減額請求を受けるケースも実際にあります。
事例2: ある地主さんの土地
また、別のケースでは、地主が借地料の値上げを希望して相談に来たことがあります。私たちの事務所で物件調査を行ったところ、その時点で強気な交渉が難しいことが分かりました。調査結果を踏まえて、「無理に値上げ交渉を進めると、逆に裁判で不利な結果になるかもしれませんよ」とアドバイスしました。このように、賃料交渉はケースバイケースで、必ずしも地価が上昇している時期が値上げのベストタイミングではないこともあります。
直近合意時点の地価のほうが高い場合、賃料値上げの可能性はある?
では、直近合意時点の地価のほうが、現時点の地価よりも高い場合、賃料を値上げすることはできないのでしょうか?
結論としては、裁判所では地価が下落しているにもかかわらず、賃料値上げが認められた事例もあります。
その理由は、直近合意時点で設定された賃料が非常に低かったため、値上げを認めざるを得なかったという判断です。
なお、実務的には、「直近合意時点で設定された賃料が非常に低いから値上げの余地がある」のか、それとも「直近合意時点をふまえると、値上げ交渉がかえって値下げにつながる」のかは、判断が難しいです。そのため賃料の値上げを考えた際は、不動産鑑定士に相談することを強くおすすめします。
そもそも賃料交渉において最も大切なのは、「価格時点」をどこに設定するかという点です。価格時点とは、賃料の値上げを請求した時点のことです。
現状のように景気が不安定な時期には、早めに値上げの意思表示を行い、その「価格時点」を確定させることが賢明です。
そして賃料交渉の際には、「直近合意時点」から「価格時点」まで、の経済事情がどのように変化してきたのかを考える必要があります。
この判断を誤ると、逆に不利な条件で交渉が進んでしまうこともありますので、専門家のアドバイスを受けることが重要なのです。
関連記事:家賃の値下げ交渉に対抗するには?オーナーが知っておきたいことを不動産鑑定士が解説!
賃料値上げ請求は不動産鑑定士に相談してから!
地価上昇に伴う賃料値上げ交渉では、「直近合意時点」の状況と、「価格時点」の経済事情をよく考慮することが大切です。場合によっては、賃料値上げ請求をしたにも関わらず、反対に相手から値下げが請求されるリスクもあります。
適切に賃料交渉を進めるためにも、まずは不動産鑑定士に相談し、客観的な立場からアドバイスをもらいましょう。当事務所でも、地主・不動産オーナーからのご相談をお待ちしております。

