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賃料値上げの注意点:「ご検討ください」が大きな失敗の元
こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今回のテーマは「賃料値上げ、ご検討下さいが大きな失敗の元」についてです。
賃料値上げをオーナーがテナントに伝える際、注意が必要です。値上げを伝える方法には、例えば「来月から坪あたり1万円の〇円にさせていただきます」とはっきり言い切る方法や、「坪1万円の〇円をご検討ください」と相手の反応を伺う方法があります。
後者の「ご検討ください」といった表現は、相手の懐事情を考慮して配慮を示すものですが、実際には後で法的な争いが起こるリスクもあります。テナント側が「これは単なる相談であって、正式な意思表示ではない」と主張する可能性があるからです。
実際の判例を参考に
実際の判例を見てみましょう。あるオーナーは、借り手に対して「坪単価1万5千円位をご検討ください」という書面を送付しました。オーナーはこの書面を賃料増額の意思表示だと主張しましたが、裁判所はその表現を「賃料額の改定を検討するよう依頼したにすぎない」と解釈しました。このため、オーナーの意思表示による賃料増額は認められませんでした。
明確な意思表示が重要
この事例から学べることは、「ご検討ください」よりも「来月から〇円とします」といった明確な意思表示を行うことが重要だということです。関係が良好な場合でも、あいまいな表現では後でトラブルが生じる可能性があります。
曖昧なままでいると、争いになった時にオーナー側が不利になることもありますので、賃料改定を伝える際は、しっかりと明確な意思表示を行うことをお勧めします。
まとめ
賃料値上げを行う際には、明確な意思表示をすることが重要です。「ご検討ください」といった曖昧な表現を避け、正式な意思表示を行うようにしましょう。それによって、後々の法的なトラブルを避けることができます。
参考文献:
令和4年4月19日 東京地裁判決
事件番号:令2(ワ)26313号・令3(ワ)11360号
事件名:賃料増額等請求本訴事件、賃料減額等請求反訴事件
文献番号:2022WLJPCA04198007
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