借地契約のトラブル・リスク対策

賃料値上げ、ありがちな不動産投資の失敗例

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賃料値上げ、ありがちな不動産投資の失敗例

こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは「賃料値上げ、ありがちな不動産投資の失敗例」についてです。

近年、不動産投資が非常に人気となっています。しかし、安価な家賃を値上げする前提で収益不動産を購入した結果、値上げできずに期待していた利益を上げられないケースも多く見受けられます。これは最近始まったことではなく、過去からよくある失敗例です。ここでは、特にありがちな失敗例を3つ紹介したいと思います。

 

① 家賃の値上げ

収益不動産を購入する際、「今の賃料が安いから値上げできるだろう」と考えて購入を決断する人が少なくありません。特にアパートなどでこのパターンが多いです。しかし、実際には借地借家法により借り手は法律で守られているため、すぐに賃料を値上げすることは難しいことが多いのです。裁判例でもこのようなケースで争いが多くあります。

一方、店舗の家賃では少し異なります。相場より安い賃料の場合、交渉の余地がある場合もあります。具体例として、安い店舗の家賃を交渉して月額3万円アップに成功した事例があります。少額と思われるかもしれませんが、年間で36万円の増収となり、投資利回りを5%と仮定すると、720万円の資産価値アップに相当します。このような視点で店舗物件を扱い、家賃を上げて資産価値を増加させて転売する不動産業者もいるのです。

 

② テナントを立退きすれば化ける?

低家賃が入っている古いビルは、不動産市場で注目されがちですが、現テナントを立退きして新しく建て直せば土地の価値が大きく上がり、儲けられるという話がよくあります。特にリーマンショック直前の赤坂や銀座エリアでは、このようなセールストークが多く見られました。しかし、実際にはテナントの立退きは非常に難しく、慎重に考える必要があります。立退きがスムーズに進むことは少ないため、その点をしっかりと理解しておくべきです。

 

③ 借地人を立退きする?

底地(借地権の付いた土地)を購入して、借地人を立退かせることを考える人もいます。しかし、これも非常に難しい問題です。借地人を立退かせるにはタイミングが非常に重要で、たまたま借地人が建物を使わないタイミングに声をかけることができれば成功するかもしれませんが、そうでない場合はなかなか実現しません。また、立退きを求める代わりに、借地人に底地を売却する方が収支計算を立てやすく、より現実的な選択肢となる場合が多いです。

 

まとめ

不動産投資においては、賃料の値上げやテナントの立退き、借地人の退去を簡単に考えるのは危険です。これらは実際には非常に難しい手続きであるため、慎重な判断が必要です。投資に成功するためには、物件ごとの特性や法的な制約をしっかり理解し、適切な方法で価値を上げていくことが大切です。

 

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