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共有不動産・代償分割金の受け取り方、支払い方。見落としがちな〇〇費
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは、「共有不動産・代償分割金の受け取り方、支払い方。見落としがちな〇〇費」についてです。
今回は、東京地裁の令和2年の判例(令和2年2月18日事件番号平成30年ワ29226号)をもとに、共有物分割請求のケースを紹介し、代償分割を行う際に重要な現金の支払い方と受け取り方について説明します。
事案の概要
相続した建物を兄弟2人で共有名義にしており、そのうち一人が本建物に住んでいる状況です。このように、共有者の一人がその建物に住んでいる場合で、一定の要件を満たせば、住み続けたい者が他の共有者の持分を買い取ることができる場合があります。これは裁判所の判決に基づき、住み続けたい者が代償分割として、現金で他の共有者の持分を買い取るという形です。
例えば、相続した実家を兄弟で共有している場合、兄が住んでおり、弟が住んでいない状況で、兄の名義にする代わりに弟が現金で受け取ることになります。このような場合を「代償分割」と言い、実際に不動産を売って代金を分けるわけではありません。
代償分割における評価と支払い額
代償分割を行う際には、不動産の評価が重要なポイントになります。共有者同士で合意が取れれば問題ありませんが、意見が食い違う場合、不動産鑑定士による評価が必要です。
このケースでは、不動産評価額が2000万円と合意されたと仮定します。共有持分が2分の1ずつであれば、各々が受け取るべき金額は1000万円となります。しかし、実際に不動産を現金化する場合、仲介手数料や譲渡にかかる税金が発生するため、評価額2000万円からこれらを差し引いた1600万円が手取り額となります。そのため、代償分割の際には、この手取り額を基に、800万円を支払うべきだという判決が下されました。
見落としがちな諸経費や税金
この事例のように、代償分割を行う際には、譲渡にかかる諸経費や税金を差し引いた手取り額を基に金額を計算する必要があります。実際には、税理士さんのアドバイスを得ながら、個別のケースに応じて調整を行うことをお勧めします。
まとめ
代償分割の際、単に評価額を基に金額を支払うのではなく、現金化にかかる諸経費や税金を考慮して支払い額を決めることが重要です。こうした費用を見落とすと、後でトラブルになる可能性があるため、十分な確認が必要です。
以上、今回のテーマは「共有不動産・代償分割の実際。見落としがちな〇〇費」についてでした。