地主のための経営・資産管理術

定期借地権の更新(再契約)で賃料値上げを実現する3つのポイントを不動産鑑定士が解説!

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。

最近は従来の普通借地より返還リスクが低い、「定期借地権」を活用する不動産オーナーが増えています。

定期借地権は一定期間後に土地が確実に返ってくることがメリットですが、実は契約を更新(契約期間終了時の再契約)するタイミングで、賃料値上げをしやすいこともポイントです。

そこで今回は不動産鑑定士の視点から、定期借地権の更新で賃料値上げを実現する3つのポイントを解説します。

定期借地権とは

定期借地権は、平成4年に導入された制度で、契約期間が終了すると土地は必ず返却される契約形式です。

この契約は20年、30年の期間が多く、現在、更新時期が迫っているケースもあります。例えば、コンビニエンスストアなど、土地を定期契約で貸している場合などです。

なお厳密にいうと、定期借地権には「更新」がありません。普通借地権と異なり、定期借地権は契約期間が満了すると、借地権は確定的に終了します。(特約などによる更新を認めてしまうと、定期借地権としての本質から外れてしまうためです)

ただし、定期借地権を再度契約することは可能です。たとえば20年の定期借地権が終了するタイミングで、新たに20年の定期借地権を締結する、などということです。

このような再契約が、便宜的に更新と呼ばれています。しかし普通借地権の更新のように、従来の契約を引き継ぐ更新ではない点は覚えておきましょう。

定期借地権を再契約するメリット

定期借地権は更新がないため、もし借主が「当初の契約期間を超えて土地を借りたい」と考えた場合、新たに契約を結ぶ必要があります。

この新たな契約は、従来の契約を引き継ぐものではないため、その時の情勢に合わせて契約内容を見直すことも可能です。

つまり定期借地権を再契約する際は、賃料の値上げを希望できます。

たとえば再契約時の希望賃料を伝え、合意できれば定期借地権を再契約し、合意できなければ予定通り土地を返還してもらえます。これは地主の方にとって、大きなメリットといえるでしょう。

定期借地権の更新(再契約)で賃料値上げを実現する3つのポイント

地主としては、更新時に賃料の値上げを希望することもあるでしょう。しかし、闇雲に値上げ希望を伝えても、借主が合意するとは限りません。

合意できなければ土地を返還してもらえばいいかもしれませんが、できれば賃料を値上げして、引き続き土地を借りてもらいたいと思っている地主の方もいるでしょう。

そこで、賃料値上げにあたって確認しておきたいポイントを、不動産鑑定士の視点から3つ紹介します。

  • 地価の動向
  • 税金の動向
  • 経済状況

地価の動向

事業用定期借地権の場合、コロナ禍などの特別な事情がなければ、賃料見直しが行われないことが多かったと思います。

更新時に値上げを希望する場合、まずは地価の動向を確認してください。契約当初から現在まで、地価がどう変動しているかをチェックするのです。

地域によっては、20年間で地価が下がっている場合もあります。賃料は地価と連動している部分があるため、地価が下がっている場合は、値上げの交渉どころか現状維持、もしくは値下げを避けるために慎重に対応したほうがよいこともあります。逆に地価が上昇していれば、値上げを請求するべきです。

地価動向を簡単に調べる方法として、Googleマップなどを活用する方法があります。これについては別の動画で詳しく説明しているので、概要欄をチェックしてください。

税金の動向

固定資産税などが上昇している場合、その増額分を値上げの根拠として使用することができます。

特に重要なのは、税金がいつから上がったかという点です。通常、契約当初または改定時を起点に税金の動向をチェックします。もし税金が上がっているのであれば、その増加分を反映させることが正当な値上げの根拠になります。

経済状況

経済状況、特に物価指数も賃料見直しに影響します。消費者物価指数などが上昇していれば、契約時や前回改定時と比較して物価の上昇分を賃料に反映させることが根拠となります。これも値上げを検討する上で重要な指標となります。

定期借地権の再契約時の賃料設定は不動産鑑定士にも相談できる

賃料は地価と土地利用による利潤の2つの要素に基づいて決定されます。後者の利潤に関しては、借地人の事業状況が影響します。

例えば、アパレル業界やブライダル業界のように、インターネットの普及や人口減少により厳しくなっている業種もあります。

このような業界の借地人に対しては、賃料の値上げを強く押し進めるのではなく、契約期間を短縮して、次のテナント候補を見つける準備をすることも選択肢となるでしょう。

当事務所では、地主の方にとってベストな賃料を、専門家の観点から試算しております。定期借地権の契約終了が迫っており、今後どのような戦略で土地を活用していけばいいのか考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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