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皆さん、こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは、「あなたの土地が強制的に売られる? 共有物分割の流れ」です。
今回は東京地裁の令和4年1月13日、事件番号令和2年ワ、29732号を取り上げ、実際の「共有物分割請求」事件をもとに、その流れを解説します。
事案の概要
世田谷区にある土地の共有者は、地主と不動産会社の2人。地主が4分の1を、残り4分の3を不動産会社が所有しているという状況です。もともとは親族が所有していた土地が、何らかの理由で不動産会社に売却され、現在の共有関係になっています。裁判に至る前に、不動産会社が地主に対して4分の1の持分の買い取りを提案しましたが、話し合いはまとまりませんでした。
共有物分割請求の流れ
この裁判では、以下の3つの流れで最終的に解決が図られました。結論として、共有者の2人は本件不動産を競売にかけ、売却金を持分で分けることとなりました。予想外の結果となり、売りたくなくても競売にかけられることがあります。
まず最初に検討されたのは「現物分割」、つまり不動産を実際に分けられるかどうかです。本件では、土地を2分割することはできませんでした。土地の形状や間口が狭く、分割すると不動産価値が下がってしまうと判断されました。
次に検討されたのは「全面的価格賠償」、一方の共有者が他方の持分を買い取って単独所有する方法です。地主も不動産会社も両者とも自ら買い取って単独所有を希望しましたが、この方法には最高裁判所の基準が必要です。具体的には、①特定の人が単独所有になることの妥当性、②不動産の適正評価、③買取りの支払い能力などが基準となります。本件では、地主が現在別の場所に住んでいることや、競売を通じて最高価格で買い取れる可能性があるとして、地主の主張は退けられました。
最終的に裁判所は「競売によって売却したお金を分けなさい」と結論を出しました。競売にかけることで、両者はその持分を現金化し、分割することが決定しました。
不動産鑑定士の意見
共有土地の分割において、特に評価の問題で揉めることが多いです。不動産評価が異なると、双方の主張が食い違い、解決には時間がかかります。私の経験では、解決までに少なくとも2年、長ければ3年ほどかかることが多いです。共有地を所有している場合は、他の共有者とのコミュニケーションを大切にし、突然の売却や問題発生を避けることが重要です。
まとめ
今回のテーマは、「あなたの土地が強制的に売られる? 共有物分割の流れ」についてでした。共有地を持っている方は、他の共有者との話し合いを事前に行うことが大切です。今日の話はここまでです。
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