借地契約のトラブル・リスク対策

共有地主が単独で、借地契約の更新拒絶ができるのか?

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下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。

こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは「共有地主が単独で、借地契約の更新拒絶ができるのか?」についてです。前回に引き続き、今回は共有地に関する問題をテーマにお話しします。まだ前回の動画を見ていない方は、そちらも合わせてご覧いただくと、より深く共有地の問題が理解できるかと思います。

今回は、仲の悪い共有者がいる場合、共有地の管理にどのような支障が生じるかを説明します。具体的な例として、仲が悪い兄弟がそれぞれ2分の1ずつ土地を共有し、その土地に借地権が設定されているケースを考えます。つまり、第三者の借地人が住んでいる状況です。この場合、片方の共有者、例えば兄が単独で借地人に対して明け渡しを請求できるのでしょうか?

 

判例を基に説明

今回のテーマに関連する最近の判例として、令和3年8月25日の東京地裁「建物収去土地明渡請求事件」を挙げて、具体的に説明します。

結論から言うと、2分の1の共有者単独では借地契約の更新を拒絶することはできないという判断が下されました。その理由としては、他の共有者の立場から見ると以下の2点が挙げられます。

  1. 賃貸借契約の更新を希望する場合
    他の共有者が賃料収入を得たいと考えることも十分にあり得ます。片方の共有者が一方的に借地契約を更新しないとなると、賃料収入の減少や停止が生じるため、事前に協議が必要です。
  2. 明け渡しを求めることによる負担
    もし借地人に対して明け渡しを請求する場合、土地の返還に伴い、他の共有者にも立退料を払う負担が発生する可能性があります。このように、単独で重要な決定を行うことは、他の共有者に予期しない負担を強いることになるため、許されません。

 

法的な理由

法律的には、借地契約の更新を拒絶することは単なる「保存行為」ではなく、「管理行為」とみなされます。管理行為を行うためには、共有持分の過半数の同意が必要です。したがって、2分の1の共有者だけでは過半数に達していないため、他の共有者とも意見を一致させる必要があります。

つまり、一方の共有者が勝手に決定すると、他の共有者に対して不利益が生じる可能性があるため、このような重要な事柄は共有者全員で協議し、同意を得る必要があるということです。

 

まとめ

この事例からわかることは、共有地の管理には共有者間の協力と意見の一致が不可欠であるということです。もし、共有者同士の関係が悪化している場合は、早めに共有状態を解消することをお勧めします。無理に管理を続けようとすると、後々大きなトラブルを招くことになります。

以上、今回は「共有地主が単独で借地契約の更新拒絶ができるのか?」について説明しました。もし、この記事が参考になったら幸いです。では、今回はここまでです。

 

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