立退き・契約解除について

地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き②

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今日は、「地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き②」をテーマにお話しします。
前回、裁判所は地主に立退きを認め、地主が勝訴したことをお伝えしました。まだ前編をご覧でない方は、そちらもぜひご覧ください。今回は、その裁判所の判断ポイントを解説します。

1. 裁判所の判断
裁判所の判断は、地主と借地人双方の事情を天秤にかけ、どちらの主張が優先されるべきかを慎重に検討するというものです。それでは、具体的に裁判所がどのように判断したのかを見ていきましょう。

【地主の事情】
1. 結婚で新居を構えるのは自然 地主が結婚を機に新居を考えることは自然なことであり、自己所有地があれば、それを利用したいと考えることは当然です。借地人が反論する「実家に同居すればよい」といった主張は採用されませんでした。なお、裁判官が女性であるため、女性の地主の気持ちに理解があったのかもしれません。
2. 本件借地権が収益用である 地主は多くの土地建物を所有しており、それらはすべて第三者に貸しています。しかし、借地人は本件土地を自己居住用として使用していません。これにより、地主が土地を自ら利用するのが適当だという判断が下されました。
3. 両親のサポートの必要性は現時点では具体性に欠ける 地主は結婚後も仕事を続けるか、子育てと仕事を両立するのかについては現時点では未定であり、具体的な計画がないため、この点は判断材料として不十分とされました。

【借地人の事情】
1. 他にも収益用不動産を所有 借地人は本件建物からの収入が生計維持に必要だと主張しますが、実際には他にも収益用不動産を所有し、年金収入もあります。そのため、この主張は強くありません。
2. 投下した費用は回収済み 借地人は本件建物に3,270万円を投じましたが、約20年間でその費用を回収しているとされ、実質的に追加の負担はないと判断されました。
3. 借地人は実質的に自宅がある 借地人は本件建物を改修し自己使用する予定だと主張していますが、すでに他に自宅を所有しており、改築後の本件建物を使用する必要性は低いとされています。
2. 裁判所の結論
裁判所は地主と借地人双方の事情を総合的に考慮し、借地人が本件建物からより多くの経済的利益を得ようとしているため、相当額の立退料を支払うことで契約を解除できると判断しました。
3. 本判例から得られる大きなポイント
この判例から得られる大きなポイントは、借地人が自己使用するために土地を使用していないという点です。借地人が自ら住んでいない場合、立退きの判断が有利に進む傾向があることがわかります。

以上が「地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き②」の内容です。裁判所がどのように地主と借地人の事情を天秤にかけたのか、その背景を理解することで、土地活用や契約解除の際に有利な立場を取るためのヒントが得られるかもしれません。

次回もお楽しみに!

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