立退き・契約解除について

地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き①

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今回は「地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き①」と題して、地主が借地権の立退きに挑戦した裁判例を解説します。この事案は、地主にとって非常に参考になる内容ですので、ぜひご覧ください。少し難しいかもしれませんが、ぜひ最後までお付き合いください。

1. 事案の概要
まず、事案の概要についてお話しします。地主は20代後半の女性で、祖母から相続した土地を所有しています。この女性、つまり地主は結婚を決め、実家の隣に新居を建てることにしました。そのため、借地権が設定されている土地に住んでいる借地人に対して立退きを求めました。地主は契約更新を拒絶し、期間満了を理由に本件建物の収去と土地の明け渡しを求めました。

2. 地主の言い分
次に、地主の言い分について説明します。

  • • 実家の隣が最適な場所
    地主は婚約後、結婚しても両親と同居することが難しく、結婚後の生活や子育てのサポートを受けるために実家に隣接する土地に新居を建てる必要があると主張しています。
    • 借地人は投資物件として利用している
    地主は他にも土地や建物を多く所有しており、すべて第三者に賃貸しています。すべての物件は第三者が自ら居住するために利用しているため、実際に居住するための土地は限られています。一方、借地人は本件土地の建物を第三者に賃貸しており、実際に自己利用していません。
    • 立退き料の準備
    地主は立退き料として、借地権価格相当の3,800万円を準備していることも説明しています。この立退き料が、正当事由を補完するものであると主張しています。

3. 借地人の言い分
借地人は、20年ほど前に定年退職後、競売で本件土地を取得した個人投資家です。借地人の主張は次の通りです。

  • • 本物件に多額の費用を投資した
    借地人は競売で本物件を2,400万円で購入したほか、改修工事や承諾料などにも多額の費用をかけています。
    • 家賃収入は生計維持に必要
    借地人にとって、本件から得られる家賃収入は生活費の維持に欠かせない重要な収入源であるとしています。
    • 地主には他にも不動産がある
    借地人は、地主が本件土地以外にも多くの土地を所有していることに言及し、他に土地があるのだから、わざわざ本件土地を利用する必要はないのではないかと主張しています。また、地主の実家が広大で二世帯住宅として利用できる可能性もあるため、この点も反論の材料となっています。

結論
ここまでで、事案の概要、地主の言い分、借地人の言い分を説明しました。地主は、いわゆる土地資産家の娘で、借地人の言い分を聞くと確かに一般的には理解できる部分もあります。しかし、この案件では裁判所は地主の立退きを認め、地主の勝訴となりました。
次回のブログでは、裁判所の判断ポイントについて詳しく解説しますので、ぜひお楽しみに!

今回のテーマは「地主の奮闘!実家に隣接する借地権の立退き①」でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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