下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今日は「お寺の地代が安い理由」について、皆さんが地代相場を調べる際に気をつけておきたいポイントをお話しします。
お寺の地代が安価に設定される理由
お寺が貸主となっている借地権付き建物は意外にも多く、特にその地代が安価に設定されていることがよくあります。その理由は、法人税法にあります。法人税法では、借地の地代が「固定資産税等の3倍以下」であれば、お寺に法人税が課されません。つまり、地代が高額だとお寺に税金がかかってしまうため、税負担を避けるために地代を低く設定しているのです。このような税制が影響して、お寺の地代は一般的に安くなる傾向があります。
お寺の地代事例を集める際の注意点
地代相場を調べる際、特に注意が必要なのが「お寺の地代事例」です。お寺の地代は、税制や法人の取り扱いなど、特殊な事情が絡んでいるため、他の事例と単純に比較するのは適切ではありません。例えば、近隣のエリアや周辺地域でお寺の事例を集めると、適正な地代相場を把握する際に誤った判断をする可能性があります。そのため、お寺の事例が含まれているかどうかをしっかり確認してからデータを集めることが重要です。
お寺の地代に税制が関係しないケース
また、全てのお寺が法人税などに関係なく地代を設定しているわけではありません。一部のお寺では、地代を純粋な収益事業として捉えて、一般的な地代相場に従って地代を設定している場合もあります。したがって、お寺の地代事例だけでは一概に相場を判断するのは難しく、場合によっては通常の地代相場を基に評価する必要があります。
「継続地代の実態調べ」資料の活用について
地代の改定を行う調停や裁判では、「継続地代の実態調べ」と呼ばれる資料を基に地代水準が決められることがあります。この資料は、税理士資格を持つ不動産鑑定士の方々がまとめたもので、地代水準を示す貴重なデータですが、注意しなければならない点があります。それは、この資料においてお寺の事例が多く含まれている場合、結果として安価な地代水準が示されることがあるということです。したがって、この資料を活用する際には、お寺の事例がどれくらい含まれているかを確認し、その影響を考慮することが大切です。
地代改定請求の根拠として使われる法人税法
さらに、固定資産税の3倍以下の地代が設定されている場合、地主側が地代の値上げを請求する際に、法人税法を根拠にすることがあります。この場合、法人税法では、収益金額が固定資産税の3倍以下であれば、それは収益事業として認められないとされます。そのため、現在の地代が低すぎると主張し、値上げを求める根拠に使われることがあります。
最後に
お寺の地代事例は、他の地代事例と一概に比較できないため、特に注意が必要です。地代相場を調べる際には、どのような事例が含まれているかをしっかり確認し、適切な情報を元に判断することが重要です。本格的な地代評価が必要な場合は、不動産鑑定士に依頼することを検討してみてください。
今回は「お寺の地代が安い理由」についてお話ししました。次回もお楽しみに!