下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。
こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今日は「裁判所の見解。更新料の支払い慣行がないって、どういうこと?」というテーマでお話しします。
更新料の支払い慣行を巡る疑問
地主の方々は、インターネットで「更新料」について調べたことがあるのではないでしょうか。様々な立場から情報が書かれていますが、借地借家法の解説を読んでも「裁判所は、更新料の支払い慣行を認めていない」と書いてあります。しかし、実際には、更新料の支払い慣行が実務ではよく見られることが多いのも事実です。
それでは、なぜ裁判所は更新料の支払い慣行を認めていないのでしょうか?今回は、その疑問を解決するために「合意更新」と「法定更新」の理解を深めていきたいと思います。
合意更新と法定更新の違い
まずは「合意更新」について説明します。合意更新とは、契約の更新に際して、地主と借地人が円満に合意をし、お互いに契約書にサインを交わすことです。この場合、更新料を支払うことが一般的に見られます。
一方、法定更新とは、更新の際に双方の合意が得られず、法律によって自動的に契約が更新される場合のことです。法定更新では、更新料が支払われることは通常ありません。
裁判所の見解
この理解を前提に、裁判所の見解について説明します。
-
1. 合意更新の場合: 最高裁判所は、「契約更新の際に借地人が地主に対して更新料を支払う例が少なくない」と述べています。これにより、裁判所も実務において更新料の支払い例が多いことを認めていることが分かります。
2. 法定更新の場合: 一方、法定更新については、裁判所は更新料の支払い慣行を認めていません。つまり、合意更新の場合には更新料が支払われることが多いものの、法定更新の場合には支払い慣行が認められないということです。
まとめ
このように整理してみると、裁判所が「更新料の支払い慣行を認めていない」というのは、法定更新に関してのみであり、合意更新の場合には支払い慣行があるということです。したがって、地主としては、合意による更新を話し合い、更新料をしっかりと請求することが重要です。
以上、今回は「裁判所の見解。更新料の支払い慣行がないって、どういうこと?」というお話をしました。次回は、合意更新のコツについてお話ししたいと思います。それでは、今日の話はここまでです。