地代・更新料・承諾料について

地代・借地料の相場はどのくらい?計算方法を不動産鑑定士が解説!

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みなさんこんにちは。不動産鑑定士の三原です。

「地代や借地料について調べてみたけれど、欲しい情報になかなかたどり着かない」「地代・借地料を決めたいけど、いくらい」というお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

今回は、「地代・借地料の相場や計算方法」についてお話しします。

地代・借地料に相場はあるの?

実は、地代や借地料には、アパートの家賃のように分かりやすい相場が存在しません。

よく「地代は固定資産税の2~3倍」といった情報を目にしますが、これは必ずしも正解とは言えません。その理由は次の通りです。

1. 固定資産税の金額は土地の利用状況によって異なる

固定資産税の税額は、土地の利用状況によって変動します。また、市町村ごとに調整率(負担調整)が適用されるため、隣接する土地であっても税額に差が生じることがあります。

2. 地域や契約内容によって地代水準が異なる

地代の相場は地域ごとに異なり、都心部と地方、さらには同じ住宅地内でもばらつきがあります。加えて、土地の賃貸借契約の内容や借地面積、有効利用の程度などの個別事情も地代に影響を与えます。

そのため、固定資産税の何倍かで計算された地代金額が、必ずしも土地の価格や適正な相場を反映しているとは限りません。

地代・借地料の計算方法

実は地代・借地料の計算方法には、次の5種類が存在します。

  • 公租公課法
  • 路線価法
  • 積算法
  • 賃貸事例比較法
  • 収益分析法

公租公課法

固定資産税や都市計画税、つまり公租公課を基準に地代・借地料を算出する方法です。

「固定資産税+都市計画税」の〇倍として求められるため、計算は比較的簡単です。(ただし公租公課の何倍とするかは、検討の余地があります)

路線価法

路線価から更地価格を求め、その更地価格の1.5~3%を年間借地料とする方法もあります。

路線価は国税庁の公式サイトから確認できるため、こちらも比較的計算自体は簡単でしょう。

(ただし更地価格の何%を年間借地料とするかは問題となります)

積算法

土地の更地価格に期待利回りをかけ、そこに経費(固定資産税など)を足して計算するのが積算法です。

たとえば土地価格が5,000万円、期待利回りが2%、固定資産税が50万円なら、5,000万円×2%+50万円=150万円が年間地代ということになります。(期待利回りを何%にするのか、という点は問題になりやすいです)

賃貸事例比較法

借地と面積や形、さらにはエリアなどの条件が似た事例を複数比較し、総合的な判断のもとに地代を決めるのが賃貸事例比較法です。

貸主(地主)も借主も納得できる地代を決めやすいですが、不動産鑑定士などの専門家に相談しないと計算は難しいでしょう。

収益分析法

事業目的の土地の場合、借主の収益から借地料を求めることがあります。これが収益分析法です。(実務的に用いられる事例は少ないです)

地代・借地料の適正水準の例

さて、地代・借地料の計算方法にはいくつか種類がありますが、やはり実際には、土地の地価や契約内容、地域の相場を総合的に考慮して適正な金額を判断する必要があります。一概に「固定資産税の倍率」だけで高い・安いを判断するのは危険です。

以下に、私が過去に鑑定評価を行った事例をご紹介します。これらの事例を見ると、地代・借地料の金額には大きなばらつきがあることがわかります。

東京23区(城南エリア)の商業地の地代【鑑定事例1】

所在地:東京23区(城南エリア)
地域種別:商業地
地積規模:250㎡(小規模住宅)
鑑定結果:公租公課の8.7倍

[鑑定士のコメント]
駅前商店街に店舗付共同住宅が建つ事案です。住宅軽減が適用されており、周辺宅地より公租公課が大幅に低くなった結果、倍率が高くなりました。ただし、地代水準は近隣店舗のものと変わりません。

東京23区(城東エリア)の住宅地の地代【鑑定事例2】

所在地:東京23区(城東エリア)
地域種別:住宅地
地積規模:64㎡(小規模住宅)
鑑定結果:公租公課の7.4倍

[鑑定士のコメント]
地価が高い一方で、住宅軽減の影響により公租公課が低い事案です。そのため倍率が高くなりました。地主が長年努力して適正な借地関係を維持していた結果、安定した地代水準が保たれています。

東京23区(城北エリア)の住宅地の地代【鑑定事例3】

所在地:東京23区(城北エリア)
地域種別:住宅地
地積規模:370㎡
鑑定結果:公租公課の3.0倍

[鑑定士のコメント]
現行地代が公租公課とほぼ同じ水準だったため、契約に疑問を感じた地主が相続を機に借地関係の見直しを決意。鑑定結果をもとに借地人と話し合い、最終的には裁判所の調停を活用し、3.0倍の地代に改定されました。

適正水準の地代・借地料計算は不動産鑑定士に相談!

地代・借地料の適正水準は、固定資産税の倍率だけで判断できるものではありません。地域の相場や契約内容、土地の特性など、さまざまな要因を考慮する必要があります。
もし、地代や借地料についてお悩みの方は、専門家に相談されることをおすすめします。土地や契約ごとに状況は異なり、一つとして同じケースはありません。

適正な地代・借地料計算を知りたい場合は、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。当事務所でも相談を承っております。

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