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みなさん、こんにちは。日本橋鑑定総合事務所の不動産鑑定士、三原です。今回は「借地権割合とは?」というテーマでお話しします。
土地の売買や取引において、借地権や底地の評価が非常に重要になる場面がありますが、その際に必ず登場するのが「借地権割合」です。
借地権割合=相続税路線価に記載されている60%、と思っている地主の方もいるかもしれません。
しかし、この借地権割合、実際には必ずしも相続税路線価に記載されている60%が当てはまるわけではないということをご存じでしょうか?
今日は、借地権割合について、実際にどのように活用されるか、そしてどんな場面でその割合が変動するのかについて詳しく解説したいと思います。実際の取引や評価の現場でよくあるケースを交えてお話ししますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
借地権割合とは、土地の更地価格に対する借地権価格の割合のことです。例えば、土地の更地評価が1億円と仮定した場合、借地権割合が60%であれば、借地権の価値は6,000万円、底地(地主の所有する土地)の価値は4,000万円となります。
この借地権割合は、一般的には相続税路線価に記載されている割合を参考にすることが多いです。
住宅地の場合は60~70%と記載されているケースが多く、この割合をそのまま適用すると思っている方もいるでしょう。
しかし実際の取引においては、相続税路線価に記載されている借地権割合がそのまま適用されるわけではありません。
一般的な売買の場合、実は借地権割合がそのまま取引額に反映されることは少ないです。
地代が安い場合は、借地権割合通りの金額で取引されることもあります。
しかし通常は、相続税路線価に記載された借地権割合が60%であれば、実際の取引における借地権割合は50%という具合に、やや低めに設定されることが多いです。
もちろん、これは交渉や状況によって異なりますが、一般的な傾向として覚えておくと良いでしょう。
また、底地と借地権を交換する場合も、通常の取引とは少し異なります。
この場合、交渉によって底地が50%、借地権が50%の割合が妥当とされることが多いです。
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一方、裁判所など公的な場面では、相続税路線価に記載されている借地権割合がそのまま採用されることも多いです。私の個人的な経験では、公的な評価の際には相続税路線価の割合が基準として使われることがよくあります。
借地権割合は、相続税路線価に記載されている割合を参考にすることが多いですが、実際の取引や交渉においては、その割合がそのまま反映されるわけではありません。取引の状況や地代の額、交渉の内容によって、借地権割合は変動することがあります。
底地の取引は、このように一筋縄ではいきません。借地権割合をどのように決めるのかはもちろん、そもそも土地の適正価値がどのくらいなのかも算出しなければならないためです。
そのため底地を取引する際は、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。当事務所でも地主の方からのご相談を承っております。