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こんにちは、日本橋鑑定総合事務所の不動産鑑定士、三原です。今回は、「裁判で提出する不動産鑑定の書類の種類」についてお話ししたいと思います。テーマは「簡易鑑定」「意見書」「査定書」など、どの書類を依頼すべきかについてです。
不動産鑑定士に依頼するケース
一般的には、不動産の価格や賃料に関する調査を依頼することは少ないかもしれませんが、特に地主さんなどは賃料の値上げなどを進めていく過程で、調停や裁判になることもあるかと思います。その際、価格や賃料を説明する書類を提出する必要が出てきます。そして、その時に不動産鑑定士に相談することになるわけです。
では、どのような書類を依頼すればよいのでしょうか?正式な鑑定書が必要なのか?簡易鑑定なのか?意見書や査定書といったものが適しているのか?といったことが迷いどころかと思います。
裁判で求められるのは「正式な鑑定書」
結論から言いますと、調停や裁判所に提出する書類は、すべて正式な「鑑定書」または「不動産鑑定書」と呼ばれる書類です。これは、鑑定に関する法律が求める要件をすべて満たしたものを指します。裁判関係では、正式な鑑定書を作成することが必須とされており、これは不動産鑑定士協会のガイドラインで定められています。
昔の「簡易鑑定」や「査定書」の問題点
かつては「簡易鑑定」や「査定書」、「調査報告書」といった書類が存在していました。これらは正式な鑑定書ではないものの、不動産鑑定士の印鑑が押されているため、依頼者にとっては手軽で安価な方法とされていました。しかし、これらの書類は、鑑定に関する法律要件を満たしていないため、作成にかかる日数も短く、費用も安価でした。
実際、これらの簡易な書類が公的な調停や裁判の場で使用されてしまうと、関係者に混乱を引き起こすことが多く、結果として当事者間や調停委員、裁判所関係者に不信感を与えてしまいました。そのため、現在では裁判関係では正式な鑑定書の提出が義務付けられています。
注意点
もしも正式な鑑定書ではなく、簡易な書類を裁判所に提出してしまった場合、相手方から「鑑定士ガイドラインや鑑定法に違反しているのでは?」という反論がある可能性があります。このような反論があると、こちら側の立場が弱くなり、裁判所に対して「こちらの鑑定士の意見は信用できない」という印象を与えてしまうことになりかねません。そのため、書類の種類には十分注意が必要です。
まとめ
賃料の鑑定や価格に関する評価は、難しい場合が多いです。不明点があれば、不動産鑑定士に直接相談し、適切な書類の作成を依頼することをお勧めします。
以上、今回のテーマは「裁判で提出する不動産鑑定の書類の種類」についてでした。今日の話はここまでです。