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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
借地の更新料をスムーズに支払ってもらうためには、適正な額を請求することが重要です。
しかし、いったいいくらなら適正額といえるのでしょうか。
そこで今回は、「借地の更新料の相場」についてお話ししたいと思います。
借地更新料に公的な基準は存在しない
更新料について、裁判所は法定更新の場合の更新料を認めていないため、公的な基準は存在しません。
更新料はあくまでもお互いの合意で決まるもの、ということです。
つまり極論すれば、借地更新料の金額は自由に決めて良いということになります。
しかし、実際にそのような無制限な交渉では合意が難しくなるため、何らかの基準が必要になります。
※当事者同士の交渉がまとまらず、裁判を経て法定更新に持ち込まれてしまうと、更新料を請求できないこともあります。
関連記事:裁判所は更新料の支払い慣行を認めていない?「合意更新」と「法定更新」の違いを不動産鑑定士が解説!
更新料の相場
結論として、更新料の相場は「更地価格の2%から6%」もしくは「更地価格×借地権割合×5~10%」がひとつの目安となります。
たとえば地価が1,000万円、借地権割合が6割だとしましょう。
更地価格の2%〜6%だとすると、更新料は20〜60万円です。
更地価格×借地権割合×5〜10%だとすると、更新料は30〜60万円となります。
同じくらいの水準になりますね。
少し前に、当事務所で東京都城西エリア(世田谷区や杉並区など)で行った50件以上の合意更新時の更新料の事例と土地の価格との関係について調査した結果、参考になるデータが得られました。
調査の結果、更新料の平均は更地価格の約4.6%であり、最低で2%、最高で6%の範囲で決定されているケースが多く見られました。なお、この分析においては、更地価格は路線価を0.8で割り戻した推定価格を用いています。
借地更新料の相場に幅が生じる要因
ちなみに、借地更新料の相場に、更地価格の2%から6%といった幅が生じる理由としては、借地の状況による違いがあります。
例えば、契約更新時に地主が更新を拒絶する正当な理由がある場合、法定更新が適用されないため、更新料を高く設定する理由があります。
この場合、借地人にとっても高い更新料を支払って契約を更新するメリットがあるため、更新料が高くなりやすいのです。
一方、借地上の建物が比較的新しく、近い将来に譲渡や建て替えの承諾を求めるような状況が想定できない場合、更新料は低くなる傾向があります。
借地更新料の相場にまつわる判例
ちなみに、判例では「土地の価格の1割の更新料は、世間相場としては高額」とされています。
したがって、特別な事情がない場合には、更地価格の10%を超えるような更新料は相場から外れていると言えます。
借地更新料の算出は不動産鑑定士に相談!
今回は更新料の相場についてお話しました。更地価格の2%から6%という範囲が一般的な目安であり、交渉の際には借地の状況や特別な事情を考慮することが重要です。
円満な合意を目指せる適正額はケースによって異なるため、不動産鑑定士に算出を依頼することも検討してみてください。当事務所でも地主の方からのご相談を承っております。