地代・更新料・承諾料について

相当地代6%とは何に使う?実際の地代計算には不適切な理由を解説!

  • 再生回数:7

下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。

こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今回は「相当地代6%」についてお話しします。

先日、ある地主さんからこんな相談をいただきました。
「今、借地人に貸している土地の地代を見直したい。付き合いのある税理士に相談したら、『土地値の6%が良いのでは?』と言われたけど、それで問題ないですか?」
このご質問に対する私の回答は、「NO」でした。
「相当地代6%」という言葉を耳にすることもあるかもしれませんが、実は一般的な地代の見直しには適さないケースがほとんどです。

今回は、この「相当地代6%」について詳しく説明していきます。

相当地代6%とは?

「相当地代」とは、税務上の地代に関する専門用語です。その水準は、土地値の6%(年額)とされています。
この水準がどのくらい高いか、具体例を挙げてみましょう。

  • 土地の評価額(更地価格):5,000万円
  • 相当地代(年間):300万円(5,000万円 × 6%)
  • 月額地代に換算すると:25万円

れが相当地代6%です。

一方、実際に地代を決める方法にはいくつかの種類が存在します。

たとえば、土地の更地価格に期待利回りをかけ、そこに経費(固定資産税など)を足して計算する手法を「積算法」といいます。この場合、土地価格が5,000万円、期待利回りが2%、固定資産税が50万円なら、5,000万円×2%+50万円=150万円が適正な年間地代です。

この積算法の場合、1か月の地代は12.5万円ですから、相当地代6%と比べると半分になりました。

ほかにも、借地と面積や形、エリアなど条件が似た事例を複数比較し、総合的な判断のもとに地代を決める「賃貸事例比較法」というものもあります。この場合、上記の土地の条件では、一般的な地代が月額3万円~4万円程度になる可能性もであることを考えると、相当地代6%は非常に高い水準だということがお分かりいただけると思います。

関連記事:地代・借地料の相場はどのくらい?計算方法を不動産鑑定士が解説!

ここまで紹介した点をふまえると、相当地代6%はあくまでも税務上の概念であり、実際の地代計算には不適切だということです。

相当地代6%が活用される場面

それでは相当地代6%は、どのような場面で活用されるのでしょうか。

それは、主に法人税に関連する場面で利用されます。たとえば次のようなケースです。

  • 地主が社長個人名義で土地を所有している
  • その土地を会社が借りて、建物を建てる

税法では、個人と法人を別人格と考えます。そのため、会社が社長個人から土地を借りる場合、借地権(会社が土地を使う権利)に対する適正な対価を支払わなければなりません。
例えば、以下のようなケースです。

  • 土地値:5,000万円
  • 借地権割合:60%(地域により異なります)
  • 借地権代金:3,000万円

本来であれば、会社が社長個人に3,000万円の借地権代金を支払う必要があります。しかし、多くの場合、親族間でこのような大きな金額を支払うのは現実的ではありません。

そこで税法では、代わりに「相当地代6%」を支払えば、借地権代金を一括で支払わなくても良い、というルールを設けています。

この「相当地代」は、通常の地代に加え、借地権代金を分割払いするような意味合いを持っています。

地代見直しでは相当地代を使うのではなく、不動産鑑定士に相談!

相当地代6%は、先述したような「地主の社長」が「自分の会社」に土地を貸すようなケースで利用されるものです。

そのため地主と借地人が他人同士である場合に、相当地代6%を交渉材料として使うのは不適切です。
例えば、地代改定の調停や交渉の場では、相当地代を基準にすることはほぼ認められません。

相当地代6%は、あくまで税務上の特殊なケースで使われるものです。これをそのまま一般的な地代見直しに適用しようとするのは、状況にそぐわないと言えるでしょう。

実際の地代の見直しや借地権に関する問題は、ケースバイケースで対応が異なります。借地人にも納得してもらい、なおかつ地主としても適切な利益を得るためにも、ぜひ地代を計算する際は不動産鑑定士に相談してみてください。当事務所でも、地主さんからの相談を承っております。

公式SNSアカウント

フォローお待ちしています!