地代・更新料・承諾料について

地代・借地料の相場や計算方法

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みなさんこんにちは。不動産鑑定士の三原です。
今回は、「地代・借地料の相場や計算方法」についてお話しします。

地代・借地料に相場はあるの?
「地代や借地料について調べてみたけれど、欲しい情報になかなかたどり着かない」というお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
実は、地代や借地料には、アパートの家賃のように分かりやすい相場が存在しません。
よく「地代は固定資産税の2~3倍」といった情報を目にしますが、これは必ずしも正解とは言えません。その理由は次の通りです。

  • 1. 固定資産税の金額は土地の利用状況によって異なる
    固定資産税の税額は、土地の利用状況によって変動します。また、市町村ごとに調整率(負担調整)が適用されるため、隣接する土地であっても税額に差が生じることがあります。
    2. 地域や契約内容によって地代水準が異なる
    地代の相場は地域ごとに異なり、都心部と地方、さらには同じ住宅地内でもばらつきがあります。加えて、土地の賃貸借契約の内容や借地面積、有効利用の程度などの個別事情も地代に影響を与えます。

そのため、固定資産税の何倍かで計算された地代金額が、必ずしも土地の価格や適正な相場を反映しているとは限りません。

地代・借地料の適正水準を知るには?
地代・借地料の適正水準は、土地の地価や契約内容、地域の相場を総合的に考慮して判断する必要があります。一概に「固定資産税の倍率」だけで高い・安いを判断するのは危険です。

以下に、私が過去に鑑定評価を行った事例をご紹介します。これらの事例を見ると、地代・借地料の金額には大きなばらつきがあることがわかります。

【鑑定事例】

  • 事案1
    所在地:東京23区(城南エリア)
    地域種別:商業地
    地積規模:250㎡(小規模住宅)
    鑑定結果:公租公課の8.7倍

[鑑定士のコメント]
駅前商店街に店舗付共同住宅が建つ事案です。住宅軽減が適用されており、周辺宅地より公租公課が大幅に低くなった結果、倍率が高くなりました。ただし、地代水準は近隣店舗のものと変わりません。

  • 事案2
    所在地:東京23区(城東エリア)
    地域種別:住宅地
    地積規模:64㎡(小規模住宅)
    鑑定結果:公租公課の7.4倍

[鑑定士のコメント]
地価が高い一方で、住宅軽減の影響により公租公課が低い事案です。そのため倍率が高くなりました。地主が長年努力して適正な借地関係を維持していた結果、安定した地代水準が保たれています。

  • 事案3
    所在地:東京23区(城北エリア)
    地域種別:住宅地
    地積規模:370㎡
    鑑定結果:公租公課の3.0倍

[鑑定士のコメント]
現行地代が公租公課とほぼ同じ水準だったため、契約に疑問を感じた地主が相続を機に借地関係の見直しを決意。鑑定結果をもとに借地人と話し合い、最終的には裁判所の調停を活用し、3.0倍の地代に改定されました。

まとめ
地代・借地料の適正水準は、固定資産税の倍率だけで判断できるものではありません。地域の相場や契約内容、土地の特性など、さまざまな要因を考慮する必要があります。
もし、地代や借地料についてお悩みの方は、専門家に相談されることをおすすめします。土地や契約ごとに状況は異なり、一つとして同じケースはありません。

今回ご紹介した事例が参考になれば幸いです。次回もどうぞお楽しみに!

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