地代・更新料・承諾料について

地代・家賃を値上げする方法とは?成功しやすい8つのタイミングを不動産鑑定士が紹介!

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
地主や物件オーナーにとって、地代・家賃の値上げは悩ましい問題です。しかし、地代値上げのタイミングにはいくつかの「チャンス」があります。

今回はその8つのタイミングについて、不動産鑑定士の視点から紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

地代・家賃を値上げが成功しやすいタイミング

地代・家賃の値上げが成功しやすいタイミングの代表例は、次の8つです。

  1. 固定資産税の増額
  2. 地価の上昇
  3. 近隣の類似物件より安価な賃料
  4. 当事者間の個別事情の変化
  5. 合意更新時
  6. 借地権の譲渡承諾
  7. 増改築承諾や条件変更承諾
  8. 経済事情の変化

これらのタイミングを押さえておくことで、地主は地代・家賃値上げを有利に進めることができます。それぞれのタイミングごとのポイントについても、詳しく見ていきましょう。

1. 固定資産税の増額

固定資産税が増加すると、地主にとっては経費が増え、手取り収入が減少します。

これは地主にとって不利益が生じるため、地代の値上げが認められるケースが増えます。経費の増加に対応するために、地代の見直しが行いやすくなります。

なお、市役所に行けば、過去数年分の固定資産税の資料を取得できます。税金の推移をエクセルで表にまとめて、交渉材料とするのもおすすめです。

関連記事:家賃の値上げ交渉に必要な資料とは?集め方を不動産鑑定士が解説!

2. 地価の上昇

土地の価格が上がると、地代も上昇するのが自然です。地価と地代は「元本と果実」に例えられ、土地価格の上昇が元本(土地の価値)の増加を意味し、その結果として果実(地代)も上がります。地価の上昇は、地代値上げの正当な理由となります。

なお、地価推移の調べ方については、以前の動画「ネットで簡単!たった30秒!地価の推移の調べ方」で解説しています。

3. 近隣の類似物件より安価な賃料

自分の土地の地代・家賃が近隣の類似物件よりも安価である場合、その差を解消するために賃料を引き上げることが認められやすくなります。そのため、普段から近隣の借地借家情報を集めておくことが重要です。

4. 当事者間の個別事情の変化

貸主と借主が親戚同士で賃料を安く設定していた場合、売買や契約変更を機に、借主が赤の他人になった場合など、個別の事情により賃料が不相当になった場合、賃料値上げが認められることがあります。

関連記事:前所有者の親族が安価な家賃で暮らしているオーナーチェンジ物件、家賃値上げはできる?

5. 合意更新時

長期間地代の値上げを行っていない場合、合意更新のタイミングで値上げ交渉を行うべきです。更新料との兼ね合いもありますが、粘り強い交渉が必要です。

関連記事:借地の更新料はいくらが相場?不動産鑑定士が目安を紹介!

関連記事:更新料の未払い分は賃料に上乗せできる?判例をもとに不動産鑑定士が解説!

6. 借地権の譲渡承諾を求められた時

借地人が無断で借地権を譲渡することはできません。そのため、譲渡の承諾を求められるタイミングで地代の値上げ交渉を行うことが一般的です。

関連記事:譲渡承諾料を算出する際は正確な面積の確認が重要!不動産鑑定士が理由を解説

7. 増改築承諾や条件変更承諾を求められた時

借地人が増改築や条件変更を希望する場合、その承諾のタイミングで地代の値上げ交渉をすることが通例です。

関連記事:借地契約の更新前は無断増改築に要注意!

8. 経済事情の変化

特にインフレが生じた場合、物価が上昇する一方で賃料が変わらなければ、貸主にとっては不利益になります。

インフレ時には賃料値上げが認められやすくなるため、国の発表する「消費者物価指数」に注目することが重要です。

地代・家賃の値上げでよくある質問

不動産鑑定士として、地代・家賃の値上げについてご相談をいただくことも少なくありません。

そこで、ここからはよくある質問と、その答えについても紹介します。(月額家賃10万円~15万円程度の一般的なケースを想定していますが、皆さんの不動産にそのまま当てはまるとは限りませんので、その点をご注意ください)

Q1.家賃値上げはどのように進める?

端的に言うと、まずは値上げの根拠となる資料を集め、その後、値上げ通知書を作成します。

通知書を賃借人に提示し、交渉を始めることが重要です。

もし合意が得られれば、覚書などを作成し、合意内容を文書で交わします。

関連記事:家賃値上げの通知書(賃料増額請求書)の作成方法を不動産鑑定士が解説!

Q2.地代・家賃の値上げは誰に相談する?

家賃が50万円や100万円に達するような物件の場合、専門家(不動産鑑定士など)に依頼するのが良いでしょう。

しかし、月額家賃が15万円程度までの物件であれば、ご自身で対応した方がコスト的にも有利です。

値上げ幅が数千円~数万円程度の場合、専門家に依頼してもそのコストを回収するのにかなりの時間がかかります。

規模が小さい物件であれば、オーナー自身が手続きを行うのが現実的です。

管理会社が入っている場合、その手続きも委託内容に含まれていることがあるため、管理会社に相談するのも一つの方法です。

Q3.借り手が賃料値上げに拒否したらどうすればいい?

普通借家契約の場合、借り手が拒否した場合、残念ながらそのままでは値上げができません。

そんな時は、裁判所の調停制度を利用することができます。

調停は敷居が高いものではなく、裁判所に電話して手続きを教えてもらうことができます。調停の申立て自体は比較的簡単で、通知書や根拠資料も一緒に提出することになります。

地代・家賃を値上げしたいときは不動産鑑定士に相談!

地代・家賃を値上げしたい場合、そもそも「いくら値上げするのか」を戦略的に決めなければなりません。

そして地代・家賃を客観的に把握するためには、不動産鑑定士へ相談するのがおすすめです。

当事務所でも値上げ後の地代・家賃についてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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