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マンションの賃借人の立退きはが半年で可能?オーナーが知っておくべき法改正を解説!

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。今回は、最近話題になった法改正のニュース「分譲マンションの建替えにおいて、請求から半年で借主に立ち退いてもらえるようになる?」についてお話します。

このニュースは、賃貸アパートの家主さんにも非常に参考になる内容です。具体的には、

今後分譲マンションにおける借り主の立退きが、最短で半年以内に可能になるかもしれないというものです。賃貸アパートのオーナーさんも、立退きに関するヒントを得られるかもしれませんので、ぜひ最後までご覧ください。

借主の立退きにおける現在の問題点

これまで、借主の立退きは非常に困難であり、貸主にとっては立退き請求が一筋縄ではいかない状況が続いていました。

これは「借地借家法」という法律で、借主が手厚く保護されているためです。これは多くの物件オーナーが認識しているところでしょう。

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マンションの立退きに影響する法改正が実施

しかし、今回の法改正が進めば、特に分譲マンションのオーナーにとっては、大きな変化がもたらされることになります。

特に、古いアパートやビルを所有している不動産オーナーにとっては、今後の立退きに対して新たな希望を抱けるニュースです。

今回の法改正、つまりは「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」は、分譲マンションに適用されるものであり、賃貸アパートは対象外です。

厳密に言うと、「区分所有法」という法律が適用される不動産に関する内容で、これは分譲マンションのように一つの建物を複数の所有者で分けて所有する形式の不動産に関するルールです。この点を理解しておくことが重要です。

そもそもこの法律改正は、マンションを始めとする区分所有建物が高経年化、さらに居住者も高齢化するという問題が進行している社会経済情勢を背景に成立したものです。

どのような時でも賃借人に立ち退いてもらえるわけではなく、あくまでも建替え決議があった場合、専有部分の賃借人に対して、賃貸借の終了を請求できるようになります。

そして賃貸借の終了請求があったときは、賃貸借契約は請求があった日から6か月(半年)経過することによって終了するとされました。(ただし金銭補償を前提として賃貸借等を終了させる制度であるため、補償金の支払いは必要です。)

引用元:法務省|マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法

賃貸アパートでもマンションの立退き制度は応用可能?

では、このマンションの立退きに関わる法改正は、賃貸アパートのオーナーには関係ないのでしょうか?

実は、老朽化した賃貸アパートでも、後から部屋ごとやフロアごとに区分所有の登記を変更することが可能です。

区分所有とは、例えば1部屋ごとに所有権を持つ形式で、これに変更すれば、区分所有法が適用されるため、今後の法改正を活用できる可能性が出てきます。

もちろん、これは違法ではなく、適切な手続きを踏むことで実現できます。

賃貸借契約の終了(立退き)制度は今後も改正が予想される

不動産鑑定士として私の意見を述べますと、この法改正の流れは分譲マンションに限ったことではないと思います。

老朽化した賃貸アパートにも同様の問題があるため、今後は建替えをスムーズに進めるための施策が広がっていくのではないかと考えています。

特に、立退きがしやすくなる方向性が進めば、今後の不動産鑑定における立退き料の算定にも大きな影響を与えるでしょう。

より明確なガイドラインが設けられ、立退き請求がスムーズに進む方向へ向かうのではないかと個人的には予想しています。

今回の法改正については、分譲マンションのオーナーさんにとっては朗報ですが、賃貸アパートのオーナーさんにも将来的には応用できる可能性があります。建替えや立退きに関しては、今後の法改正を注視し、適切な対策を講じることが重要です。

また、現時点においても、立退き料を支払うなど、合法的な方法で立退きを実現することは可能です。

当事務所では、物件オーナー・地主の皆様からの立退き相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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