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借地の立退き交渉において、「引越代」を地主が負担するかどうか、という点が問題になることがあります。
引越代を地主が支払うのは納得がいかない、と思うかもしれませんが、むしろ引越代を出して退去させた方がお得なケースも存在します。
今回は、どのような場合なら引越代を出しでも退去してもらったほうがいいのいか、詳しく紹介します。
借地権の立退きで起こりがちなトラブル
今回の話は、地主さんが借地契約の解除判決を取得した後のお話です。
賃料不払いで裁判を起こし、判決を勝ち取ったとしても、実際には元借地人がすんなり退去してくれないケースが多くあります。
特に、元借地人が癖の強い性格だった場合、判決が出た後も手間と時間がかかり、地主さんにとって大きな負担となることがあります。
実際に、東京都大田区で起こったケースをご紹介しましょう。
- 土地の概要:約50坪、月額地代5万円
- 借地人の状況:平成28年から地代を滞納
- 地主の対応:土地明け渡しの判決を取得
ところが、判決後に問題が発生しました。元借地人は土地の不法占有を続けた上、地主に対して「地代は損害賠償額でカバーできるので借地権は有効」などと主張しました。さらには、地主に対して慰謝料7,000万円を請求するという無茶な訴えまで起こしてきたのです。
このケースでは、元借地人に弁護士は付いておらず、お金がないことが原因と考えられます。借地人は追い詰められ、現実的に退去する準備ができなかったのです。
このように、明け渡し訴訟で勝ったにも関わらず、元借地人が出て行ってくれない、というトラブルも珍しくはありません。
• 裁判年月日:令和4年7月15日
• 裁判所名:東京地裁
• 事件番号:令2(ワ)845号
• 事件名:建物収去土地明渡請求等事件
強制退去費用よりも引越代のほうが安い可能性がある
このような場合、地主が再度裁判所に申し立て、執行官を雇い強制的に退去させる必要があります。
さらに、建物の解体費用も地主が負担しなければなりません。元借地人にこれらの費用を請求することは可能ですが、お金がない場合、回収は困難です。
こうした状況では、地主側が一定の費用(引越代など)を負担してでも、早期解決を目指す方が結果的に得をするケースもあります。
理由はシンプルです。裁判費用や解体費用を差し引いても、土地の価値が回復するメリットが上回る場合があるからです。たとえば、50坪の土地が空いた状態で戻ってくれば、その土地の市場価値が大幅に向上することもあります。
引越代を提示して合意退去を提案することで、長期化する争いを避けることができるかもしれません。
明け渡し訴訟後も元借地人が出ていかない場合は不動産鑑定士にも相談
借地契約解除後の立退き交渉は、判決が出た後もスムーズに進むとは限りません。裁判費用や強制執行の手間を考えると、引越代を負担して早期解決を図る方が、経済的にも時間的にも効率的な場合があります。
しかし、リターンが期待できる引越費用の目安は、土地の市場価値や個別の状況によって変わります。客観的な評価を得るためにも、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。当事務所でも、不動産オーナーからの相談を承っております。

