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こんにちは。日本橋鑑定総合事務所の不動産鑑定士の三原です。
土地を売って利益が出た場合、その利益に対して税金がかかります。逆に言うと、損失が出た場合には税金はかかりません。では、どのようにして損得を判断するのでしょうか?また、税金を安くする方法はあるのでしょうか。
今回は、土地を売却した際にかかる税金を少なくできる可能性がある方法について、詳しくご紹介します。
土地売却の利益計算方法
土地を売却した場合、その利益は「売却金額 − 取得金額」で計算されます。利益が発生していれば、その分に対して税金がかかります。
ただし、不動産オーナーの方々は、購入金額が不明な場合も多く、その点が問題になります。特に、土地を何十年も前に購入した場合、その当時の購入金額を示す契約書や通帳が残っていないケースが多いです。親から相続した場合など、さらに資料が不明確な場合もあります。
取得金額が不明な場合、税法には「取得原価の5%」を適用するルールがあります。例えば、売却価格が3,000万円の場合、5%にあたる150万円を取得金額として計算するというものです。この場合、取得金額が150万円だと、大半が利益となり、その分に税金がかかることになります。
つまり、多額の税金を納める必要があるのです。これは避けたいと思う方が多いのではないでしょうか。
「不動産鑑定士の意見書」で土地売却時の税金を節税できる可能性がある
もし、取得金額が低く設定されてしまう場合、税金がかかる利益が大きくなってしまいます。そこで、不動産鑑定士の意見書を活用する方法があります。鑑定士に依頼して、土地の評価額を見直し、取得原価が5%を超える評価額を算出することができれば、その額を基に利益を少なくすることが可能です。これにより、税金を抑えることができる可能性があります。
ただし、これは税務署が認めるかどうかが重要であり、公式に認められている方法ではありません。そのため、実際に適用できるかはケースバイケースとなります。
土地売却時の節税術
他にも土地売却時の税金を安くする方法がいくつかあるため、例を紹介します。
所有期間を5年超にする
土地の売却益にかかるのは「譲渡所得税」ですが、実は土地や建物を売った年の1月1日現在の所有期間で、税率が大きく変わります。
- 短期譲渡所得(5年以下):約39%
- 長期譲渡所得(5年超):約20%
もし売却時期をコントロールできる場合は、5年超保有してから売却してもいいでしょう。
3,000万円特別控除
売却するのが居住用財産の場合、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。
これが「3,000万円特別控除」です。
マイホームの売却時にしか活用できず、適用するためにはさまざまな条件を満たす必要がありますが、覚えておくべき制度です。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続により取得した土地の場合、「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」に譲渡すれば、相続税額のうち、一定金額を譲渡資産の取得費に加算できます。
取得費に加算できるということは、それだけ譲渡益が圧縮されるため、譲渡所得税を節税できるのです。
これも適用するためにはさまざまな条件を満たす必要がありますが、地主のご家族の方は知っておくべき制度といえるでしょう。
土地を売却した際の税金を少なくしたいなら不動産鑑定士や税理士に相談!
土地売却時にかかる税金を少なくする方法の一つとして、不動産鑑定士の意見書を活用する方法があります。
これは税務署が絶対的に認めてくれるものではありませんが、税理士や鑑定士と相談し、適切に進めることで、節税を実現できる可能性もあります。
もし、土地の取得金額が不明で、このままでは多額の税金がかかってしまうかもしれないという場合は、不動産鑑定士に意見書をもらうことも検討してみてください。
