下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。
こんにちは。不動産鑑定士の三原です。
底地を保有している地主の方には、業者から「底地を売ってほしい」という話が入ってくることがあるかもしれません。このような話を持ちかけてくる業者は、いわゆる「底地ビジネス」を生業としている可能性もあるため、注意が必要なことをご存知でしょうか。
今回は「底地ビジネス」について、地主の方が知っておくべき情報をお届けします。
最初に、底地についておさらいしておきましょう。
底地とは、簡単に言うと、借地人が建物を所有している土地の所有権のことです。つまり、借地契約が成立しているため、土地の上に建物があるものの、土地自体を第三者に売ることが難しい場合が多い土地を指します。
関連記事:底地とは?地主が抱える悩みや対処法とあわせて解説!
底地ビジネスとは、こういった土地を専門的に買い取る不動産業者の仕事を指します。
一般的に、業者はこれらの土地を安く仕入れた後、借地人に対して地代の値上げを求めたり、契約解除を迫ったりすることで借地人を追い込むといった手法が使われることがあります。
過去には、こうした方法が社会問題にもなったことがあり、悪い印象を持たれている方も多いでしょう。しかし、実際にはこれは業者にとっても非常にリスクのある手法であり、避けるべき方法です。
では、底地ビジネスはどういった形で進行するのでしょうか?具体的な例を挙げて説明します。
例えば、地主が底地を手放したいと考えたとき、長年の借地契約により借地人との交渉が感情的に難しくなる場合が多いです。そのため、地主は借地人に売るのを諦めて、第三者に売ろうと考えがちです。これを狙っているのが、不動産業者です。
仮に、更地の価格が5,000万円だとします。その土地の底地価格は、更地価格の4割である2,000万円と評価されることが多いです。
関連記事:底地の売値の決まり方は?相場や計算方法を不動産鑑定士が解説!
しかし、業者はその半額、つまり1,000万円で底地を購入し、地主と手付契約を結びます。そして、業者は「測量に協力してほしい」と言って、借地人に接触します。すると、驚くことに、借地人は地主とは別の業者からの提案には簡単に乗ってくることが多いのです。
この時点で業者は、1,000万円で買った底地を借地人に2,000万円で売ることが決定し、転売益として1,000万円を手にすることが確定します。もし、借地人が購入を拒否すれば、業者は測量の協力が得られなかったなどの理由で契約を白紙に戻し、リスクなしで利益を得ることができます。
このように、底地ビジネスは、業者がノーリスクでハイリターンを得る仕組みとなっています。広大な土地で借地人が複数いる場合、業者は簡単に億単位の利益を上げる可能性があります。
もちろん、誠実な業者も多く存在しますが、このようなビジネスが行われている現実を知っておくことが大切です。地主が知らずに損をすることがないよう、信頼できるプロを見つけておくことが重要です。
底地ビジネスに注意すべきといっても、なんとか底地を売りたいと考えている地主の方もいるでしょう。
底地を売りたい地主は、いったいどうしたらいいのでしょうか。
結論として、底地を高値で売るには、やはり借地人に売ることを検討するべきです。しかし地主が直接借地人に交渉を持ち掛けると、交渉に失敗してしまうこともあります。
そこで業者に底地を売るのではなく、仲介業者を通じて借地人と交渉することを検討してみてください。底地を高く売るために地主が行うべきことは、信頼できる仲介業者を選ぶことなのです。
また、そもそもどのくらいの金額で借地を売却すべきか、適正な基準を把握しておかなければなりません。そのため仲介業者に依頼する前に、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。当事務所でも、地主の方からの相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
関連記事:底地を高値で売るにはどうする?売却先やよくある失敗を解説!
底地ビジネスにおいて、業者は巧妙に地主と借地人の間で駆け引きを行い、利益を得ています。これに対して、地主は感情的に借地人との交渉が難しいことが多く、知らず知らずに損をしてしまうことがあります。そこで、信頼できるプロを見つけ、しっかりとしたアドバイスを受けることが、地主として賢明な対応となります。
今後、もし底地に関して相談することがあれば、ぜひ事前にしっかりとした情報を集め、慎重に進めていきましょう。