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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今回は、「法定更新」という非常に重要でありながら、借地権を持つ地主にとっては少々奇妙に感じる制度についてお話しします。借地借家法を理解することは、地主にとって非常に大切ですが、特に重要なのがこの「法定更新」です。今日はその内容について説明いたします。
法定更新とは?
賃貸借契約とは、ある物を一定期間貸すことを約束し、その対価として賃料を受け取る契約のことです。しかし、借地権の場合、借地借家法によってこの原則が崩れていることに問題があります。たとえば、契約期間を20年と決めたとしても、借地人が契約の継続を希望すれば、地主の意思にかかわらず、法律によって契約が更新されてしまうのです。
これが「法定更新」です。具体的には、借地契約の契約期間が終了した時、建物が残っていれば、借地人が更新を請求することができ、そのまま従前の契約条件で契約が更新されるとみなされる制度です。この際、地主は更新に異議を述べることができますが、その異議には「正当事由」が必要とされます。この「正当事由」を立証するのは非常に難しく、裁判では地主側に不利な判断が下されることがほとんどです。つまり、正当な事由が認められるのは極めて難しいということです。
終わりのない契約?
このように、地主の合意なしで契約が更新されてしまうため、法定更新は言ってみれば「契約の終わりを認めない制度」と言えるでしょう。私個人としては、法律が法定更新を認めるのであれば、回数制限を設けるべきだと思います。例えば、更新は1回や2回に制限するなどです。なぜなら、借地契約は通常、長期にわたる契約であり、更新の回数制限がないと、極論、土地は永遠に返ってこないことになり、貸主にとって非常に不公平な制度となってしまいます。
更新料がない
さらに厄介なのが、更新時の「更新料」です。実は、借地借家法にも民法にも、更新料について一言も触れられていません。更新料の支払いについては、あくまで当事者間の合意に委ねられており、法律上、貸主への配慮が欠けていると言わざるを得ません。これが、土地を貸すことが損だと言われる理由の一つでもあります。
まとめ
法定更新は地主にとって非常に不利な制度であり、少しでも知識を持っていないと、大きな損をする可能性があります。前回の動画でお話しした承諾料などと併せて、こうした制度の影響をしっかり把握し、適切な対応ができるようにしておくことが大切です。
以上、今日のテーマは「法定更新とは」でした。それでは、今回はここまで。