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地価上昇で賃料値上げ請求したら値下げされる?!
こんにちは。不動産鑑定士の三原です。今日のテーマは「地価上昇で賃料値上げ請求したら値下げされる?!」についてです。
最近、地価が上昇している傾向にあります。オーナーの皆さんは、この地価の上昇を背景に賃料の値上げを考えているかもしれません。しかし、賃料の値上げを交渉した結果、逆に値下げを請求される可能性があることをご存知でしょうか?今回は、そういったケースについて詳しく解説します。
地価の上昇と賃料交渉
こちらのグラフをご覧ください。現在、地価は上昇していますが、実は過去の「直近合意時点」では地価が現在よりも高かったケースもあります。直近合意時点とは、現在の賃料を決めた時点のことを指します。もし、このデータをもって借り手側が交渉に出てくると、地価が下がったという理由で、値下げを求められる可能性があるのです。
過去の判例でも、地価が上昇しているにもかかわらず、賃料の値下げが認められた事案があります。これは、直近合意時点で決まった賃料が市場価値に対して低すぎた場合です。このような事例では、値上げが認められないことがあります。
賃料値上げの可能性
では、こうしたケースで賃料を値上げすることはできないのでしょうか?実際に、裁判所では地価が下落しているにもかかわらず、賃料値上げが認められた事例もあります。その理由は、直近合意時点で設定された賃料が非常に低かったため、値上げを認めざるを得なかったという判断です。
この判断が難しいため、不動産鑑定士に相談することを強くおすすめします。価格時点を明確にし、どのように経済事情が変動してきたのかをしっかりと確認することが重要です。
価格時点と直近合意時点の重要性
不動産鑑定士として、賃料交渉において最も大切なのは、「価格時点」をどこに設定するかという点です。価格時点とは、賃料の値上げを請求した時点の経済状況を基準にするということです。この点については、別の動画でも詳しく説明していますので、そちらも参考にしてください。
賃料交渉の際には、直近合意時点から価格時点までの経済事情の変化を慎重に判断する必要があります。この判断を誤ると、逆に不利な条件で交渉が進んでしまうこともありますので、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
まとめ
地価上昇に伴う賃料値上げ交渉では、直近合意時点の状況と価格時点の経済事情をよく考慮することが大切です。場合によっては、値下げが請求されるリスクもありますが、過去の判例では値上げが認められた事例もあります。適切な価格時点を設定し、慎重に判断することが必要です。
参考文献:
令和4年4月15日 東京地裁判決
事件番号:令2(ワ)27478号
事件名:賃料増額請求訴訟事件
文献番号:2022WLJPCA04158012
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