借地契約のトラブル・リスク対策

借地契約書がないから締結したい!地主向けの注意点を不動産鑑定士が解説

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こんにちは、不動産鑑定士の三原です。

先日、とある地主さんから「先代からずっと契約書が無いので、新しく土地の賃貸借契約書を締結したい」という相談がありました。実は、このような相談を受けることは多いのです。皆さんの中にも同じような悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今日は借地契約書の締結の流れについて説明していきます。

口約束をそのままにしておくデメリット

まず、口約束のままで借地契約を進めてしまった場合、後々どういったデメリットがあるのかを考えましょう。

たとえば、契約期間が不明確であると、更新料を請求できないケースが出てきます。

また、借地人が無断で建物の増改築を行った場合でも、契約書がないことを理由に、開き直られる可能性もあります。

このように、借地契約を書面化していないことで、土地所有者(地主)側が不利になるケースが多いのです。

借地契約書を締結する流れ

契約書を締結する流れは、大きく3つの工程に分けられます。

  • 契約書を作成したいという気持ちを伝える
  • 原案の作成
  • 借地人に原案を提示
  • 契約内容について協議・交渉

それぞれのステップについて、具体的に解説します。

契約書を作成したいという気持ちを伝える

まず、借地人に対して、契約書を作りたいという意向を伝えることが第一歩です。手紙や電話で伝えることができます。相手が応じない場合もあるかもしれませんが、その場合は「契約書を作ることで、借地人にもメリットがある」点を説明することが効果的です。

たとえば借地契約書があれば、土地の利用権を、第三者へ明確に証明できます。

原案の作成

まずは契約書の原案を作成することから始めます。特別な要望がなければ、インターネットで土地賃貸借契約書をいくつかピックアップして参考にし、作成してもいいでしょう。

しかし、最低限注意すべきポイントは、「増改築禁止」の特約が含まれているかどうかです。

この特約の重要性については別の動画や記事で詳しく説明していますので、そちらも参考にしてください。

関連記事:総工事費300万円!借地上の建物の無断増改築で争った事例

関連記事:借地契約の更新前は無断増改築に要注意!

YouTubeチャンネル「地主の駆け込み寺ch」でも、増改築禁止にまつわるテーマを取り扱っておりますので、こちらからご覧ください。

また、もし特別な条件を追加したい場合(例えば更新料など)、弁護士に相談した方が良いでしょう。弁護士に依頼した場合、契約書作成費用は、ごく簡単なものであれば10万円程度、さらに複雑なものになるとそれ以上かかります。これは作成費用のみであり、交渉費用は別途発生することを理解しておいてください。

関連記事:借地人との契約で決めておきたい項目3選【地主向け】

借地人に原案を提示

契約書の原案ができたら、次に借地人にその原案を提示し、話し合いを行います。郵送でも良いですが、できる限りフェイス・トゥ・フェイスでの面談が望ましいです。この段階では、相手の反応を見ながら調整が必要になる場合もあります。

契約内容について協議・交渉

借地人との協議が進み、内容に合意が得られれば、契約書に署名・押印して締結となります。これで契約は完了ですが、交渉が難航する場合もありますので、粘り強い交渉が求められます。

なお、もし借地人が契約書に応じない、または契約内容で意見が合わない場合、弁護士等の専門家と相談しながら、今後の方針を検討することになります。

とはいえ、相手があることなので、必ずしもこちらの言い分が通るとは限りません。それでも、地主としては「契約書を作成したい」という意思を伝え、その証拠を残すことが非常に大切です。

借地契約書がない場合は弁護士に頼るべき?

借地契約書がない場合、弁護士に頼るべきかどうかも迷うかもしれません。

弁護士に契約書の作成から交渉まで依頼する場合、作成料とは別に交渉業務にかかる弁護士費用が発生します。この費用は、最低でも10万円からで、相手との交渉の難易度によってさらに高額になることがあります。

実際のところ、借地契約書がない場合に、新たに契約締結に向けて各種手続きを弁護士に依頼すると、費用が高額になり、採算が合わなくなる可能性が高いです。

とくに月々の地代が2~3万円程度では、弁護士費用をかけるのは現実的ではありません。このため、できるだけ地主さん自身で交渉することが重要です。

借地契約書がない場合はタイミングを見計らうのも大切

弁護士を入れても、相手に無理に契約書を結ばせることは難しいというのが現実です。そのため、地主さん自身が借地人と直接コンタクトを取って交渉を行う必要があります。

ただし、借地人が借地権を売却したいと考えている場合、借地人から契約書の締結をお願いされることがあるので、こうしたチャンスは逃さないようにしましょう。この場合は、借地人がお願いしてくるわけですから、地主さんのほうが優位に立ちやすいためです。

また、借地権を売却したいといわれたタイミングでは、譲渡承諾料を請求するだけではなく、地代の値上げも検討してみてください。旧借地人との関係を整理し、新しい借地人との納得のいく賃貸借契約を結ぶことができる可能性があるためです。

関連記事:借地権の譲渡承諾に伴って地代を値上げできる?借地権処分時に意識すべきポイントを地主向けに解説!

このとき、譲渡承諾料や値上げ後の地代をいくらにすべきかといったことは、不動産鑑定士に相談するのがおすすめです。当事務所でも地主さんからのご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

当サイトの管理者

  • 三原 一洋
  • 株式会社日本橋鑑定総合事務所 代表取締役
  • 不動産鑑定士 (国土交通省登録No.7765)
    公認不動産コンサルティングマスター
    相続対策専門士

  • 1975年和歌山県生まれ。
  • 不動産鑑定事務所から、ファイナンス会社の不動産評価、融資審査業務を経て、2006年に株式会社日本橋鑑定総合事務所を設立。
  • 地主・不動産オーナーが直面する「不動産問題」の解決を得意とする。

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