下記のブログは、こちらから音声でお聞きいただけます。
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
親族間で借地契約を結ぶケースはよくありますが、安易に契約を結ぶと、後々大きな問題が発生することがあります。
そこで今回は、ある地主さんから受けた相談をもとに、親族間で借地契約を結ぶ前に考えてほしいことをご紹介します。
親族間で借地契約を結ぶと「借地権価格」が発生する可能性がある
親族間で借地契約を結ぶ際に地主が注意すべきなのは、意図せずして「借地権価格」が生じる可能性があることです。
どういうことなのか、相談事例に沿って解説します。
先日、ある地主さんから新規の借地契約について相談を受けました。賃料相場を教えてほしいという内容でしたが、少し掘り下げて話を聞いてみると、実は以下のような状況とのことです。
- 相談者(妻)が、夫と離婚した
- 離婚後、元夫が、妻名義の土地上の、元夫名義の建物に住み続けることになった
- そこで、元夫に土地を貸す形にしようという話になった
- 相談者(妻)は、元夫に毎月、賃料(地代)をもらいたい
一見、賃料をもらうことに問題はなさそうですが、ここで問題となるのが「借地権価格」です。
借地権価格とは、土地の上に建物が建っている場合の、「その土地に対する権利」の価値です。住宅地の場合、この借地権価格は、土地の更地価格の60~70%程度となることが一般的です。

このようなケースで借地契約を結ぶと、妻から元夫に、借地権価格相当額が、無償で移転してしまうことになります。実質的に土地の価値が無償で元夫に移転し、贈与税の問題が生じる可能性もあるということです。このケースでは、税理士さんに相談することを強くおすすめしました。
親族間で借地契約を結ぶと土地を返してもらえない可能性がある
もう一つ注意すべきこととしては、借地契約を結ぶと、土地を返してもらえない可能性がある点が挙げられます。
今回の事例のように、妻名義の土地に、元夫名義の建物があり、元夫に土地を貸すとなると、元夫(借地人)は借地借家法で保護されることになります。
借地借家法は、地主さんの味方ではなく、借地人の味方です。何らかの理由で土地を返してもらおうと思っても、簡単には立ち退いてもらえません。
参考記事:いったん立退きを諦めるしかないケースとは?高額な立退料でも借地返還されなかった事例を紹介
親族間で借地契約を結ぶときのポイント
先述した事例のように、親族間で安易に賃料をやり取りすると、地主側が思いがけず損をすることがあります。そのため親族間で借地契約を結ぶときには、次のようなポイントを意識してみてください。
- 使用貸借契約にする
- 土地建物の所有権を地主名義にする
- 定期借地契約を締結する
それぞれ詳しく解説します。
使用貸借契約にする
使用貸借契約とは、タダで土地を貸す代わりに、地主はいつでも土地を返してもらえる契約です。借地借家法が適用されないため、地主にとって非常に有利です。土地利用権の移転を避け、無償で貸しながらも土地を取り戻すことができます。
土地建物の所有権を妻名義にする
土地建物の所有権を、両方とも地主名義にするのもおすすめです。
先ほどの事例でいえば、妻名義で土地と建物を完全に所有し、元夫とは定期借家契約を結ぶ方法も考えられます。つまり、元夫から建物を買い取り、建物を貸すのです。
この方法なら元夫との契約期間が決まり、契約終了後に必ず退去してもらうことができます。家賃は相場より高くても安くても問題ありません。
定期借地契約を締結する
土地の貸し借りについて、定期借地契約を結ぶことで、契約期間が終了すれば土地を取り戻すことができます。もし普通借地契約にすると、土地がほぼ永遠に元夫に貸し続けられることになりますので、慎重に契約内容を決める必要があります。
地主が親族に土地を貸す場合は不動産鑑定士へ相談を!
親族間での借地契約は、安易に結ぶと土地の権利が移転してしまったり、税務上の問題が発生したりすることがあります。契約を結ぶ前に、どのような契約形態が最適かを慎重に検討し、税理士さんと相談することが大切です。親族間のトラブルを避けるためにも、契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。
もし思いがけず損をしたくない場合は、ぜひ不動産鑑定士にも相談してみてください。当事務所でも、地主さんからのご相談を承っております。


